「ホムペ」「プロフ」「リアル」--ケータイ世代が生み出す新コミュニケーション - (page 3)

「普通の女の子」の声なき声を読む

 こういった女子中高生をターゲットにしている事業者は、どういった点に気をつけてサービスを運営しているのだろうか。村田氏は、「ピーネストのサービスには普通の女の子が多く、イラストを描くなどの特別な技術を持っているユーザーは少ない」ことから、何かを発表する場ではなく、カラオケのように誰でも楽しめる場を提供することに力を入れていくと語る。

 ただ「普通の女の子」が多いがゆえの苦労もあるという。1つは、サービスを熱心に使い込むわけではないため、ユーザー同士での教えあいはするものの、説明書や規約などをあまり読んで使ってはくれないということである。それゆえピーネストのサービスは、他社よりも機能の使い方などをわかりやすくすることに力を入れているのだそうだ。

ピーネストの代表取締役社長、村田泰氏 ピーネストの代表取締役社長、村田泰氏

 そしてもう1つは、ユーザーから直接挙がってくる要望が大勢の意見とは限らないということ。積極的に声を上げる人というのはごく一部のため、要望が多く届いた機能を実現しても必ずしも多くの人に利用されるとは限らず、「リリースしてから1、2カ月でユーザーが急増しないものは相対的にうまくいかない」(村田氏)という。

 そこで同社では、まずユーザーのページやクレーム、退会時のコメントなどを分析することで「見えない声」を吸い上げ、さらにそれを1人の担当者ではなく、複数の人が目を通すことで意見を出し合い、最終的にサービスへ反映していくという方針をとっている。

 また村田氏は、場を提供するサービスにおいては「先読み」より「後読み」の姿勢が重要であるとも話している。これは@peps!を開始した時の経験から学んだという。@peps!の開発には仕様を細かく詰めたものの、実際に運営してみるとユーザーの利用動向が当初の思惑と違うケースの方が多かったそうだ。そこで現在ではまず場を提供し、ユーザーの直接、間接的な声を元に求めている機能を判断して、次にどう展開するかを考えるようにしているという。

 ただし、モバイルコミュニケーションの環境は常に変化しており、今後も現在のスタイルが継続していくかは不明瞭な部分もある。例えば最近ではmixiなどのSNSがモバイルでも強い存在感を発揮するようになっており、高校を卒業すると同時にホムペなども卒業してSNSに移行するというケースも見られる。それゆえピーネストも、現在獲得しているユーザーを逃さないよう、ホムペを中心としたサービスから、対象年齢を20代前半まで広げた女性向けポータルサイトへとリニューアルすることを検討しているという。

 また未成年フィルタリングも、大きな影響を与える可能性が高い。2009年2月から全ての携帯電話事業者において、18歳未満のユーザーは親権者の承諾がない限り、自動的にフィルタリングがかかるようになった。そのため、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)のコミュニティサイト運用管理体制認定制度の認定を得ていないコミュニケーション系サービスは、18歳未満の多くが利用できなくなってしまった。

 ピーネストのサービスも利用者の中心が10代であることから、多くのユーザーはフィルタリング自動適用以降、いくつかのサービスや機能が利用できなくなっている。実際の影響について村田氏に聞いたところ、2月の段階では日数が少ないこともあり、大きな影響は出ていないとのことであった。また2008年8月にキャリア各社が未成年新規加入者に対してフィルタリングを自動適用して以降、PV数の伸びが落ちてきているというが、これも監視などの対応を強化したことで、有害サイトなどを運営する業者のリンクや再入会などが減少した影響が大きいとのことだ。

 同社は今後を見据え、現在EMAの審査に申請している最中であるという。ただし一方で、村田氏は「実際の運営でも書き込みのチェックを過剰にしがちだが、ユーザーの行動を潰すのが目的ではなく、ユーザーに快適な環境を提供することが目的だ、と注意している。ある程度の規制は仕方ないが、次の10年を作り上げる10代の自由や可能性を失っては、今後の発展がなくなってしまうのではないか」と、未成年に対する携帯電話利用の規制強化ばかりが叫ばれている現状に対して苦言を呈している。

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