NPDのインダストリアナリシス担当バイスプレジデントのStephen Baker氏は、現実には、価格とは無関係に一般の人々の間でデスクトップの人気が低下しており、新しいiMacに対するAppleの宣伝文句(いまさらスピードとフィードを強調している)は、同社がもはやiMacを成長の原動力となる製品とは見なしていないことを示していると言う。
新しいMacユーザーは、デスクトップよりもノートブックを欲しいと思う可能性が高いが、それは単に、過去5年間で全般的なコンピュータ購入傾向がそのように変化したからだとBaker氏は言う。Macファンの中にはiMacに対して熱狂的なコアグループが存在する。新たにMacに興味を持ったユーザーは、iMacよりも「MacBook」の購入を検討する可能性がはるかに高いだろう。
そこで、古くからのMacファンが望む製品が用意された。それが、動作が速くなり、価格もより手ごろになった24インチスクリーンのiMacだ。旧式になりつつある20インチモデルからアップグレードしたいと思うユーザーもいるだろう。価格を据え置くことで利益を確保し、それをノートブックや「iPhone」などほかの成長分野への投資に振り向けることが可能になる。
また、そうした製品分野はAppleが思い切った価格戦略を取ることができる分野でもあるとBaker氏は述べている。おそらくそれは、しばしばうわさされているAppleネットブックという形にはならないかもしれないが、AppleはMacBookの価格を下げる意志をすでに示しており、2008年10月にMacBookのエントリモデルの価格を1000ドルの大台を切る999ドルに下げている。
Appleが今後、デスクトップ市場でシェアを大きく伸ばすことはないはずだ。デスクトップというカテゴリは崩壊しつつあり、価格だけを基準にして購入する顧客は、Appleを検討することすらないだろう。またiMacは、大手PCメーカーのほとんどがデスクトップカテゴリで主に大きなタワー型モデルを販売していた2〜3年前とは異なり、当時ほどユニークな製品ではなくなってきた。ならば、どうして価格を下げて利益を削るだろうか。何しろ、コンピュータ業界では、一度価格を下げたら元に戻すのはほとんど不可能だ。
3日の発表は、iMacが各地のApple小売店で、店の片隅に消えていくことの始まりとなるかもしれない。iMacが1990年代後半の低迷期にAppleを救ったことは間違いないだろうが、それから11年、世はまさにモバイルコンピューティングの時代になっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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