Microsoftは長年にわたり、同社の特許ポートフォリオが相互運用性の議論に向かう前提であることを、オープンソースベンダーは認識していると主張してきた。しかし、同社は米国時間2月16日、そうした言い逃れをやめて、仮想化の相互運用でRed Hatと提携することを発表した。
この提携にはいくつかの重要な内容が含まれており、それらはすべて仮想化に関するものだ。
相互運用性は本来こうあるべきという形どおりの素晴らしく簡潔な取決めであり、Microsoftの技術をRed Hatの技術と同時に利用したいという顧客の要求に応えたものだと、Microsoftの仮想化戦略担当ゼネラルマネージャー、Mike Neil氏は言う。Linuxベンダーの最大手企業がMicrosoftと提携したことは、顧客にとって大きな勝利だ。
Red HatがMicrosoftと締結した今回の相互運用の取り決めで重要な点は、特許に関する条項がまったく含まれていないことだ。かつて特許条項を含めたことで、Novellは、オープンソースコミュニティからの猛烈な批判に晒された。
今回の提携は、サーバの仮想化を使用するMicrosoftとRed Hatの両方の顧客に対して一体的な技術サポートを提供するものであり、これらの提携に伴う活動で知的財産の共有が必要となることはない。したがって、今回の提携では、特許やオープンソースライセンスに関するいかなる権利も対象になっていないだけでなく、業界標準の認証/検証テストにかかる費用を除き、金銭に関するいかなる条項も存在しない。
Red Hatは長い間、特許に関する議論は真の相互運用性を妨げるだけであり、相互運用性の管理はオープンソースとオープンスタンダードによって行うのが最適だと主張してきた。
Red Hatは以前こうした相互運用性について、ほとんど実効性のない業界団体の「Interop Vendor Alliance」でMicrosoftと行動を共にすることでお茶を濁していたが、今回の提携は、Red Hatが相互運用性について直接Microsoftと取り組んだ初めての事例となる。
一般には知られていないが、NovellとMicrosoftが提携する前、Red Hatは1年間にわたってMicrosoftと相互運用の取り組みについて話し合いをしていた。だが、最終的にはMicrosoftが、Novellとの交渉で盛り込んだのと同様の、特許に関する訴訟を起こさないとする条項を加えようとして話し合いを壊してしまった。Red Hatは、こうした不要な条項を盛り込むことを拒否して交渉のテーブルを離れ、MicrosoftはNovellと提携して、オープンソースを攻撃する口実に相互運用性を利用した。
Red HatとMicrosoftの両社は16日、特許に関して密室で取り引きをしなくても相互運用性が実現できることを示した。いずれにせよ、Microsoftは欧州委員会から特許に対する姿勢をオープンにするようますます強く求められていることは、Red Hatの特許に対する断固とした姿勢が正しかったことを示すものだ。だが、今回の発表はMicrosoftが、オープンソースベンダーとの付き合い方に関して、大人の考え方をするようになりつつあることを示唆している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス