iPhoneに加えてAndroid端末も2009年には日本で発売される見込みだ。携帯電話業界は2009年、どのように変わっていくのだろうか。1月9日に東京都内で開催された有限責任中間法人ブロードバンド推進協議会主催のパネルディスカッション「オープンプラットフォームの進展で期待したいモバイル・ブロードバンドビジネスの将来展望」で、モバイル業界の有識者が議論した。
登壇したのは総務省情報通信国際戦略局 情報通信政策課長の谷脇康彦氏、ソフトバンクモバイル取締役副社長の松本徹三氏、iモードの育ての親として知られる慶應義塾大学 特別招聘教授の夏野剛氏、携帯電話研究家でジャーナリストの山根康宏氏だ。司会は新世代ブロードバンド研究会WGリーダーで武蔵野学院大学 客員教授の木暮祐一氏が務めた。
Android端末の登場について、夏野氏は「Googleについてほとんどの人が誤解しているようだが、Googleは携帯電話向けOS市場を席巻したいわけではない」と語る。市場をAndroidで独占したいのであれば、わざわざiPhoneやSymbian端末向けにモバイルサービスを提供しない、というのが夏野氏の見立てだ。
では、Googleの狙いとは何か。夏野氏は、「日本以外の市場では、Nokia端末であってもまともにインターネットへのアクセスなんかできない。めちゃめちゃ使いにくくて、WAPブラウザは最悪。Nokiaは端末が売れればそれで終わりなので、どれだけ使ってもらうかはどうでもよく、使ってもらうための工夫をしていない」と、海外でのモバイルインターネット市場の現状を酷評した上で、「Androidを出した最大の理由は、IT業界からケータイに対するフラストレーションだと思う」とした。
「(Google CEOの)エリック・シュミットはいつも、携帯電話については世界がみんな日本の人たちのように思ってくれるといいんだけど、と言っていた。携帯電話からインターネットにアクセスできる環境を整えないといけないから、OSを無料で配ることにした。もし覇権を握りたいなら有料にしていたはずだ。Googleは、広告ベースの自社のビジネスモデルに役立つからAndroidを広めている」(夏野氏)
Androidは採用するメーカーにも利点がある。海外の携帯電話情勢に詳しい山根氏は、「世界的に見ると、いかにNokiaに勝つかが端末メーカーの課題」と語る。世界シェアで圧倒的ナンバーワンの地位にあり、Symbian OSを持つNokiaに対抗するためには、Androidが強力なツールになるというのだ。山根氏は、ライバルになるAppleが今夏にどんな新端末を出すかにもよるとした上で、「場合によってはAndroid端末が(台数ベースで)ぐっと伸びてくるのでは」と期待を示した。
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