ラスベガス発--2年以上前から大手メディア企業へのサービス提供を目指してきたCisco Systems(Cisco)が、こうした企業がソーシャルネットワーキングの力を利用して自社ブランドとファンを結びつけるのに役立つ新製品をついにリリースした。
Ciscoは米国時間1月7日、ラスベガスで開催されている2009 International Consumer Electronics Show(CES)の幕開けに、メディアやエンターテインメント企業がオンラインコミュニティーを構築、管理し、発展させるためのホスティング型ソフトウェアプラットフォーム「Cisco Eos」(Entertainment Operating System)を発表した。Eosの構築にあたり、Ciscoは技術ツールを集約し、ウェブサイトの構築とカスタマイズを容易にする使いやすいインターフェースを採用している。だが、何より大事なのは、Eosに双方向ウェブサイトを作成する技術がバンドルされている点だ。これを使えば、メディア企業はミュージシャンやテレビ番組、映画など、企業側が宣伝したいと考えるあらゆるブランドとファンを結びつけるサイトを作成できる。
Ciscoが大手メディア企業を支援する方法を模索し始めたのは、Media Solutions部門を創設した2006年後半のことだった。その狙いは、デジタルメディアコンテンツの所有者向け製品を開発し、販売する点にあった。Ciscoはさらに2007年2月、ソーシャルネットワーキング用のソフトウェアを開発する新興企業Five Acrossを買収した。
Ciscoの幹部でEosを担当するDan Scheinman氏は、この新しいソフトウェアプラットフォームなら、メディア企業が現在直面している最大の問題の1つに対処できると確信している。
「現実には、メディアはデジタル技術のためにかなりの混乱状態にある。ファンはお気に入りのアーティストやテレビ番組と結びつく方法を探し、コミュニティーを求めているが、こうしたものの提供に関してメディア企業の動きは鈍い。Eosはコミュニティーを中核としており、ファンの参加を可能にするものだ」(Scheinman氏)
Eosの提供するツールを使えば、メディア企業はブログやライブチャット、掲示板、評価およびランキングシステムが構築できる。
ソーシャルネットワーキングはマーケッターや大手メディア企業が消費者に働きかけるうえで最も重要な手段だというのが、Scheinman氏の意見だ。消費者は「YouTube」や「Facebook」などのサイトを利用して、動画や音楽、写真といったメディアを共有している。また、自社ブランドを冠したウェブサイトを通じて双方向体験をファンに提供することにより、メディア企業にとっては著作権侵害に対抗できるというメリットもあるとScheinman氏は考えている。
「いろいろなやり方で、デジタルはメディアの価値基準を損なっている。著作権を持たない人たちが、コンテンツを盗んで利益をあげたり、コンテンツを手元に集めたり、引き換えにわずかな金を得たりしている」(Scheinman氏)
「Eosはこうした問題への対処法を提供するものだ。メディア企業が消費者に音楽や動画に双方向で触れあえる手段を提供し、何らかの手を打てば、ユーザー体験は強化されブランド力も高まる。Eosによって著作権侵害が完全になくなるわけではない。だが少なくとも、視聴者の参加を可能にすることによって、メディア企業が闘いを挑むことは可能になる」とScheinman氏は説明する。
Warner Music Groupは、CiscoとEosサービスに関する契約を結んだ最初の大手メディア企業となった。Warner Music Groupは現在、このソフトウェアプラットフォームを利用して、手始めにLaura Izibor、Sean Paulという2人のアーティストのウェブサイトを構築している。同社のデジタル戦略ならびに事業開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのMichael Nash氏は、同社の音楽ファン向けのコミュニティーを構築する重要性に関してScheinman氏と同意見だ。Nash氏の話では、同社は数年前からこうしたコミュニティーの構築を検討してきたが、独自に技術を開発する、あるいは既製のツールを組み合わせて使う方法では構築が難しく、コストがかかりすぎる点がネックとなっていたという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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