AppleにとってJobs氏が重要な人物であり、2008年にJobs氏の体重が減少したことは明らかであることを考えると、同氏の健康に関するうわさはその種の投機家にとって手軽な武器だ。Appleはここ6カ月にわたり、それらのうわさに対処するためにさまざまな方針を採ってきた。
2008年6月、Jobs氏がAppleのWorldwide Developers Conference(WWDC)に出席した日に、AppleはThe Wall Street JournalにJobs氏が「よくある細菌感染」を患っていると語ったが、憶測が高まるとAppleは態度を変え、Jobs氏の健康は「個人的な問題」であるとした。
その後Jobs氏自身がThe New York TimesのJoe Nocera氏に接触した。Nocera氏の同僚であるJohn Markoff氏は、Jobs氏が体重の減少の原因となっている問題(詳細は明らかにされていない)を治療するために外科手術を受けたという内容の記事を書いていたが、Jobs氏はその記事の内容を(オフレコで)認めた。それによって、外科手術を「よくある細菌感染」と本当に見なすことができるかについて激しい議論が巻き起こったが、2008年のその後に公の場に姿を現したJobs氏の外見は、回復したとは言えないまでも、悪化したようでもなかったため、憶測は大方収まった。
ただし、憶測が沈静化していたのは、Jobs氏がMacworld Conference & Expoの基調講演に出席しないとAppleが発表した2008年12月の中旬までである。その時点でAppleはJobs氏の健康に関する質問に対しての回答を拒否し、Jobs氏がMacworldに出席しない理由は、AppleがMacworldとの関係を終わらせると決めたからだとした。
2009年1月5日の発表では、体重が減少し続けている原因をつきとめることが自分の最優先課題であるとJobs氏が「数週間前に」決断したことが分かった。Jobs氏のこの決断がPhil Schiller氏による基調講演の実施決定に結び付いているとAppleが認めたわけではないが、これらの2つの決定が何かしら関連していることは想像に難くない。
今後はどうなるのだろうか。1月5日に投資家は満足したらしく、市場全般で株価が下落した日にAppleの株価は4%あまり上昇した。だが、投資家の満足をどのくらいの間維持できるだろうか。
McGurn氏は「この問題がこれだけ公になった今、情報の公開と最新情報の提供を定期的に行う必要が出てくるだろう。公正であろうとなかろうと、この場合に公正さは問題ではない。市場がそれを求めているのだ」と述べている。
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