Appleは1月5日にあのような形でコメントを発表することを選択したために、Jobs氏の健康が個人的な問題であると言うことはもはやできなくなるだろう。ハーバードビジネススクール人間関係学教授のJay Lorsch氏は「1度発表したことで、再度発表しないと人々が最悪の事態を考えるという状況を生み出してしまった」と述べている。
Jobs氏は2009年春ごろにはほぼ元の体重に戻る見込みだと言っているが、Jobs氏は何かもっと悪い病気にかかっているのではないかという憶測を鎮めるために、Appleはそのような趣旨の最新情報を発表する必要があるのだろうか。Jobs氏の体重が再び減少しているといううわさが広まることも考えられるが、そのようなうわさが広まったらAppleは2009年の終盤にまた最新情報を発表する必要があるのだろうか。
Lorsch氏によると、Appleが今後そのような状況を回避できる1つの方法は、後継者計画を明確にすることだという。Appleは詳細を明らかにしていないが、Jobs氏がAppleを去ることを最終的に決断した時に備えた計画はあることを示唆している。
今こそ、その計画を明らかにする時なのかもしれないとLorsch氏は述べる。そのような計画を発表することによって、CEOの座をめぐって社内で競争が生じたり、選ばれなかった人たちの間で敵対意識が生まれたりする可能性があるため、難しい決断ではあるが、Jobs氏に何かが起きた時にAppleが準備不足であるように見えれば、役員会が役目を果たしているのかについて疑問視する声が上がるだろう。
ここ6カ月にわたりJobs氏の健康に関する問題への対応でAppleは多くの困難に直面した。何事にも屈しない性格のJobs氏のプライバシー問題と、同氏の訃報を流して利益を得ようとする人々によって引き起こされる損害の間で、綱渡りをしなければならなかったのだ。
しかし、AppleはJobs氏の健康に関する懸念に直接対応することを2度拒否してから(最初は2008年の6月、次は12月)、2009年1月5日にあのような形で公表したことにより、Apple自らJobs氏の健康に関する議論を続けさせることになった。今後新たな問題が生じた時には、Jobs氏のプライバシーを守る権利を主張するのは難しいだろう。
情報を出したがらないことで有名なAppleが、注意深く振る舞わなければならなくなったことは明らかだ。2008年にJobs氏は「よくある細菌感染」以上の病を患っていた。AppleはJobs氏がMacworldに出ないことと2009年1月5日の公開書簡で明らかにしたJobs氏のホルモンバランス異常を結び付けることを巧みに逃れたが、Jobs氏の健康とMacworldへの欠席を決めたことに関連性がないとは信じ難いように思われる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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