対談:デジタル著作権ってどうなってるの?(前編) - (page 3)

成井:デジタルコンテンツの不正コピーについて、不正コピーを使う人は有料では買わない人であるとか、不正コピーがあっても買う人は買うなど、さまざまな意見があります。

石井:不正コピーの問題を理由にデジタルコンテンツに否定的な意見もありますが、結局、それらをコントロールするDRMが柔軟で、ユーザーのニーズにあったビジネスが構築されることが重要ではないでしょうか?不正コピーを探す手間やリスクよりもiTunesで買った方がよければ、多くの人は買うと思います。

成井:先ほどのCDの例のようにデジタルコンテンツというのは様々な側面があって、全体のビジネスを押し上げる力にもなれば、逆の場合もあるということですね。

石井:そうですね、その中でDRMもいろいろあって、ユーザーへの許諾の範囲を上手くコントロールしながら、ビジネスをどうやって最大化できるかということがポイントだと思います。

 たとえば、携帯電話に音楽をダウンロードしてもその携帯電話端末でしか使えない。著作権保護という意味では強力な手段かもしれませんが、結果として携帯電話のコンテンツにとって高いコストになっている。現在の携帯電話コンテンツの保護は非常に閉ざされた範囲に制限されていて、コストが必要以上にかかっていると思います。

 コストというのは権利者側とユーザー側双方にとってです。このような姿は、ユーザーだけでなく、権利者側にとっても望ましいものとは思えません。

成井:デジタル著作権について現在考えられている問題点を教えてください。日本の著作権法のせいで国産の検索エンジンが日本で育たなかったと言われています。検索するためにはどうしてもどこかに複製を作る必要があるのですが、それが法律に触れてします。

石井:日本の著作権法は、例えばアメリカの著作権法で取り入れられている「フェアユース」という概念がなかったり、著作者人格権が世界的にも最高水準の強さで保護されていたりするなど、硬直的で、インターネット上の検索エンジンなどの新しいビジネスを立ち上げる際の妨げとなりかねないという問題が指摘されています。

 また、著作権の一番の特徴はコンテンツが創作された時点で自動的に発生する権利だということです。登録や実施が必要な特許や商標とも違うし、契約で規定される権利でもありません。

 すべてがアナログコンテンツでネットワークもなかった頃はそれでよかったのですが、デジタルコンテンツがネットワークを通して流通するようになって、いくつかの問題点が浮き上がってきました。

 たとえば、コンテンツの中には現在の著作権法のような強い保護を求めていないものがたくさんあります。保護よりもそのコンテンツが自由に流通して場合によっては改変されたり書き込みされたりすることを許諾したい場合もあります。

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