講演の後半は「測定」について。動画コンテンツの視聴測定を実施する際には、「何をもって視聴とするか」という視聴の定義を明確にしなければならない。まずは「どのポイントで測定するか」だ。サーバにリクエストが来たときか、プレーヤーに配信されたときか、または1秒、1分再生されたときか、さまざまなポイントがある。
ここで1つの指標となるのは米国のマーケティング業界団体「Interactive Advertising Bureau(IAB)」のガイドラインだ。
IABは「Digital Video Ad Measurement Guidelines」という文書のなかで、インターネットCMの測定ポイントを「Opportunity to see」(OTS)に設定している。これは「より最終的なユーザーの視聴に近いところでの計測」を意味し、実際に動画コンテンツが再生された時点で視聴とみなすということだ。
VRI、NECビッグローブ、マイクロソフト、ヤフー、USENの5社が2008年7月に合意した、日本初のインターネット動画コンテンツ接触状況の測定基準においてもOTSが測定基準として採用されている。測定できるデータは総接触回数(ストリーム数)、接触人数(ユニークブラウザ数)、接触時間などだ。
OTSベースの測定は、実際に動画コンテンツが再生されたことを示すビーコンの表示回数を動画接触回数として計測する。サーバへのリクエスト回数ベースの測定では、ユーザー側で動画が再生に至らない場合でもカウントされてしまうのが課題だった。OTSは別名「CSC」(クライアントサイドカウンティング)とも呼ばれ、ヤフーが2006年10月から広告の掲載結果測定に導入している。
荻野氏は、動画広告の効果測定についても「何をもって効果とするか」という明確な指標が必要であるとし、「到達レベル」と「行動レベル」、そして「生活者の認知レベル」まで測定できなければ、広告効果、広告効率を見出せないと述べた。
そのためVRIは、2008年4月にNTTレゾナント、マイクロソフト、ヤフーと共同で発表した調査レポート「インターネット広告出稿によるブランディング効果3つの法則」をさらに発展させていく。
これは主にバナー広告を対象としたものだったが、共同調査プロジェクト「ネット広告バリューインデックス(Net Ad Value Index、略称NAVI)プロジェクト」の発足を期に、今後は動画広告についても同様に調査し、指標を確立する方針だ。
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