20代、3人に1人はニコニコ動画--メディアパワーと若者に支持される理由 - (page 2)

坂本純子(編集部)2008年11月18日 22時21分

 「われわれはインターネットの常識に反する試みをしている」と夏野氏が語る取り組みが、その時間にアクセスしないと見られない“生放送”だ。同時接続できる人数は最大1万人。1万人の範囲内で、3000人限定など人数を制限することもできるという。

 「ブロードキャスト型の生放送は、インターネットでは向かないのがこれまでの常識。しかし、インターネットは時間も場所も関係ないことを逆手にとって始めた“生放送”は反響がある」と話す。

 9月24日に行ったソフトバンク対オリックスの生中継では、合計4万人(人が入れ替わった数もカウント)がアクセスし、40万ものコメントが付いたという。

 「三振すれば『あーーーー』というコメントで埋め尽くされるし、歓声やヤジなどもとぶ。一方で野球解説する人もいるし、球場にいって野球を見ている雰囲気をインターネットで味わえるということ」と夏野氏は笑う。今後は映画の試写会をやってみたいと意欲を見せた。

 最近の傾向としては、政治家がニコニコ動画に注目し、実際に活用し始めているという。通常、ドワンゴではニコニコ動画にテレビの動画が上がっていると削除する方針だ。その方針に従い、国会中継の映像を削除したところ、ある政治家から「なぜ削除するのか」と抗議が来たという。

 国会の中継映像は、放送される政治家の了解がとれれば使っていいことが後に判明。復活させたエピソードがあったという。後日談として、その政治家の質問が鋭く、内容がよかったことによって、若年層の入党が増えたというエピソードを披露した。

 たとえば、日本共産党の志位和夫委員長は、ニコニコ動画では「Cさん」と呼ばれ、志位和夫チャンネルがある。10月には自民党の麻生太郎総裁を特集した麻生自民党チャンネルが開設され、このほかにも多くの政治家がチャンネルを持っている。

 「若者は国会の生中継はあまり見ないが、ネットに上がることによって、しかもコメント付きだといままで触れなかった映像を見るきっかけになり、新しい発見がある」とニコニコ動画ならではの価値をアピールした。

 今年の7月には、アンケート大人数でリアルタイムアンケートがとれる「ニコ割アンケート」を開始した。ニコニコ動画を視聴している全ユーザーの画面に割り込んで、アンケートを出すしくみ。90秒のアンケートで、7〜8万件の回答が集まるという。

 ニコ割りは、いつアンケートをとるといった予告をしない。突然割り込むとユーザーは予測できないため、フラットなアンケートができるという。

 「麻生氏内閣の支持調査を行ったときは、午後9時半に約20万人いた。急にアンケートを割り込ませて答えてもらった。支持率の結果は43.4%となり、若者に偏っているが、固定電話の支持率調査とほぼ同じ。おもしろいのは、プレミアムユーザーは意見が異なること。一般ユーザーを含めると、通常の世論調査と変わらないので、おもしろいと思っている」と明かした。

ニコ割りアンケートの参加状況 ニコ割りアンケートの参加状況

 ドワンゴでは、ニコニコ動画のアップグレードを12月4日に予定しているという。「今日はお話できないが、大幅に全面的に変える仕掛けを用意している。1000万人メディアから2000万人メディアにし、それ以上のメディアになるための仕掛けを考えている。サービスの構成も進化し、構造も変化する」とした。発表会の様子は、ニコニコ動画でも生放送される予定だ。

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