AMDは米国時間11月13日、「Opteron」の最新版4コアプロセッサ(開発コード名「Shanghai」)を発表した。
同社初の45ナノメートル製造プロセスによる新しいサーバプロセッサは性能と電力効率が改善されており、前世代65ナノメートルプロセスの「Barcelona」で起きたさまざまな問題や出荷の遅れによって低下した競争力を取り戻すきっかけとなることが期待されている。
先代のプロセッサ発表時から顕著に変わったのは、AMDが速度向上よりも消費電力の改善を強調している点だ。とはいえ、65ナノメートルの世代は2MBだったL3キャッシュが6MBに増えたことで動作速度も上がり、これまで2.0GHzから2.54GHzの範囲だったクロック速度は2.3GHzから2.7GHzとなっているが、消費電力はBarcelonaと同様100ワット以下にとどまっている。
「費用、性能、消費電力の点で、これまで最高のプロセッサだ」と、12日に行われた会見で、AMDのヨーロッパ、中東、およびアフリカ(EMEA)ゼネラルマネージャであるEmilio Ghilardi氏は語った。
「今ではもう、単なる性能の問題ではない。1ワットあたりの性能、1ドルあたりの性能ということだ」(Ghilardi氏)
IT業界では電力効率をますます重視するようになっているが、古いシステムや効率の低いシステムから新しいシステムに移行する「マイグレーション」という課題もある。AMDは今回の発表に際して、稼働中の古いシステムとともにインストールされている個々のシステムユニットをアップグレードする「ライブマイグレーション」を実演した。
「費用のかかるアップグレードを行う時代ではないことを顧客は知っている」と、AMDのマーケティング部門バイスプレジデントであるLeslie Sobon氏は語り、「顧客は簡単で迅速なマイグレーションを希望している」と続けた。今回の発表で同社は、AMDとIntelのシステム間でのライブマイグレーションを実演し、さらにこれまでのOpteron搭載システムとShanghai搭載システムを同じラックで動作させてみせた。BIOSをアップデートすれば、既存のBarcelonaボードでShanghaiチップを使うことができる。ただし、最大17.6GB/sの「HyperTransport 3.0」バスについてはまだ実現せず、「近いうちに強化」するとしている。2009年第2四半期に予定されている新プロセッサの登場までは、8.0GB/sのHyperTransport 1.0のみの対応となる。
「これは迅速でシームレスなマイグレーション(の方法)だ」と、Sobon氏は述べた。
Sobon氏によると、全体的な電力消費は「アイドル状態で35%の節減、動作時は同じ動作速度で15%から20%の節減」になるという。また同社は、オンボードメモリコントローラからの仮想マシン間の迅速な切り換えを行うことによる性能の向上など、優れたハードウェアベースの仮想化によって競争力を獲得するとしている。その他の省電力機能に「Smart Fetch」があり、これは各コアのL1およびL2キャッシュの内容を共有のL3キャッシュに転送することで、コアを「休止」状態にする高度なキャッシュ管理機能だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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