私は第3の口コミタイプをブランドコミュニケーションに活用するためのスキームとして「バイラルブランディング」という考え方を提唱したいと思います。
バイラルブランディングとは
上記からもわかるとおり、バイラルブランディングはブランド認知の獲得を短期的なゴールとしていません。それは、CGMを活用した口コミ施策が短期的に認知を獲得することを得意分野としていないからです。そのため、以下のようなステップを踏み、中長期視点で取り組んでいくことも忘れてはいけません。
[step1] 限定したターゲットとの理解・好意形成による質の高い口コミ誘発を重視
ブランドのファン作りを目的とし、参加や対話を重視した双方向型のコミュニケーションでブランドへのエンゲージメント(=絆)を構築するといった視点にフォーカスした施策を実施。[step2] クロスメディア展開によるオフラインでの口コミ獲得とそれによる認知獲得を重視
setp1により、自社ブランドにとって味方となる口コミ群をオンライン上に構築できたら、バイラルを加速させるためのマス広告や交通広告などのオフライン施策をクロスで展開。
このようなステップを踏むことでCGMをさらに味方にし、ファン作りを加速させていくことが可能になります。
ブランドコミュニケーションはまずバイラルでやる! この考えが定着するかの鍵を握っているのが効果測定です。オンライン上で展開する口コミ施策の場合、一般的には定量的な側面から効果を可視化することが求められますが、バイラルブランディングという考えからすると「量より質」を重視した効果測定をおこなうべきだと考えます。
たとえば、口コミされている文脈をテキストマイニングで分析し、ブランドアイデンティティやブランドパーソナリティとのギャップ分析をおこなうことはその手法の1つだと思っています。
自社が規定するブランド像と顧客がイメージするブランド像のギャップを正確に把握できればブランド課題が明確になり、その課題を解決するための次のブランドコミュニケーション戦略を立案できると言ったPDCAサイクルのマネジメントにもつながるはずです。
最後に、すでにお気付きだと思いますが、バイラルブランディングという考えは「AISAS」モデルのshareを作るため特定のターゲットに対して先行してコミュニケーション活動を行い、ブランドのファンになってもらった上でその使用体験をユーザー自らの言葉でアップロードしてもらうことをスタートとしています。
attentionを獲得するためのマス広告の実施はそれらオンライン上の口コミを加速させるためのものであり、マス広告ありきでデザインされていたこれまでのブランドコミュニケーションに対して異を唱えています。
マス広告の効果を最大化させるという観点からもバイラルブランディングの考えは理にかなっており、今後はインターネットを起点にした新しいブランドコミュニケーション設計が中心になると考えています。
大学卒業後、在京放送局に就職。営業企画・マーケティング業務に従事。その後、大手広告会社へキャリアチェンジ。営業局を経て、ブランド・コンサルティング室へ異動。ブランド開発や新規事業のコンサルティングなどのコンサルテーションをおこなう。2008年3月、オプト入社。現在はインターネットを活用した新しいマーケティング・コミュニケーション開発やブランド・コミュニケーション設計に奔走中。
外資系光学機器メーカーを退職後、渡米。カリフォルニア州立大学サクラメント校を卒業後、2005年1月(株)オプト入社。マーケティング部配属となり、ネット広告全般のプランニングや調査など経験。現在、経営戦略部に所属し、海外の市場動向を探る。
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