ネット+モバイル世界の最新ソーシャルコミュニケーション事例

執筆:ヤマグチガク アドバイザー:福島慎一 監修:海老根智仁(株式会社オプト)2008年07月14日 17時23分

 世界三大広告賞を総なめにしたUNIQLOCK。日本の広告業界人であることを誇りに思われた方も多いのではないでしょうか。また、「いつかは自分も…」と唇を噛んだ方も多かったことでしょう。私も広告業界人の端くれとして、念のため、地団駄を踏んで悔しがってみました。出品にはお金がかかりますが、悔しがるのはタダですから。

 さて、今回はカンヌ国際広告祭(カンヌ)の中から、ネットを使ったソーシャルコミュニケーションの事例をご紹介し、これからのモバイル+ネットとソーシャルコミュニケーションの有様を探っていきたいと思います。ソーシャルコミュニケーションの定義、分類については下記の資料を参照してください。

ソーシャルコミュニケーション

 今回のカンヌで私が最も注目した事例は、Titanium Lionを受賞したMILLIONキャンペーンです。

 このキャンペーンはネット+携帯電話を使ったプロモーションとしても、ソーシャルコミュニケーションの事例としても、大変新しく参考になる事例です。それではこのキャンペーンの概要を説明します。

  • クライアント
    ニューヨーク市教育局(NEW YORK CITY DEPARTMENT OF EDUCATION)
  • 依頼内容
    学校における成績のリブランディング
  • リブランディングの内容
    人生の成功に学校の成績は重要な要素であることを再認識させる
  • ターゲット
    ニューヨーク市公立学校の生徒達110万人
  • 背景
    生徒の37%が卒業できない
    マイノリティ系人種の子供達のうち50%が卒業できていない
    アフリカ系の男性若年層では大学生よりも囚人の方が多い など
  • インサイト(消費者の気持ちを揺り動かし、行動を起こさせる「心のホットボタン」と呼ぶべきもの。桶谷功著『インサイト』ダイヤモンド社より)
    生徒達と繋がるためには、彼らがお互いにコミュニケーションしている時と同じ方法が一番良い

  • 実施したキャンペーンの内容
    1.携帯電話キャリアのVerizon、携帯電話メーカーのSamsungと提携し、無料の携帯電話を学生達に配布

    2.携帯電話は生徒達用にカスタマイズ
    例)学校に来た時間を記録。授業時間中の通話とチャットは不可能。好奇心を刺激するコンテンツや授業の予習復習ができるコンテンツに簡単にアクセス可能。

    3.ただ、その携帯電話はインセンティブ制になっており、出席回数、学校での振舞い、宿題、成績などに応じて、チャットや通話ができる時間が決まる仕組み。成績が優秀であればあるほど、音楽がダウンロードできたり、appleやadidas商品のディスカウントチケットがもらえるようになる。
  • 実施した結果
    開始後2週間は、先生方の抵抗もあったようですが、すぐに授業態度や成績、モラル、参加態度に改善点が見られ出しました。そして、多くのメディアがこのキャンペーンを取り上げ話題となりました。初期の段階では、2500人に配布された携帯電話ですが、この成功で、さらに1万人規模に拡大するそうです。

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