広告を掲載するにあたって、厚生労働省及び各都道府県の監査員が所管する「薬事法」に加えて重要なものが、公正取引委員会が所管する「景品表示法」である。正式には“不当景品類及び不当表示防止法”という。
消費者は、質の良い商品や、サービス、価格の安いものを求める。そこで事業者が消費者の期待に応えるために、商品・サービスの質を向上させたり、安く販売したりするが、実際よりも良く見せかけたりするケースが多く見られる。そこで不当表示や不当景品などを厳しく規制するために独占禁止法の特例法として制定されたのが「景品表示法」である。これにより公正取引委員会は、公正な販売競争を確保し、消費者が適正に商品やサービスを選択できる環境を守るようにしているのである。
例えば下記のような場合は、景品表示法違反に当たる。
〜目指せ、スリムな私!〜
≪体験者のコメント≫
いくら食べても太りません!今までと何も変わらない生活をしているのに、こんなに体重が減るとは、感動です!
上記のように体験者の話やアンケートを用いて、好きなだけ食べても痩せられるかのように消費者へ過度の期待を持たせるような表示をし、実証データも根拠もないものの場合は、不当表示とみなされる。
また有名な事例では、下記のようなものがある。
2004年7月2日、公正取引委員会はイデアル製薬が出していた広告表示に対し排除命令を出した。同社が販売していたダイエット用健康食品「エス・スタイル・アクティブ」などの広告の中で「スチュワーデスに選ばれているNO.1ダイエット」などの表示が優良誤認であるとみなされた模様。
また7月30日、公正取引委員会は健康食品販売会社ネビオスに対し、ダイエット用健食「ウェイトダウン」の広告表現を景品表示法違反(優良誤認)として排除命令を出した。(参考:薬事法管理者認定試験受験対策講)
・「スチュワーデスに選ばれているNO.1ダイエット」(NG箇所)
あたかもスチュワーデスから絶大な支持を得ているかのような表現をしているため、これが不当表示の優良誤認にあたる。また一般的に広く知られているダイエット用健康食品の「ウェイトダウン」という広告表現ですら、景品表示法違反(優良誤認)と判断されるのである。
体内変化は何ら述べていないので薬事法違反の問題はないが、景品表示法の問題があり、遠赤外線を放出する根拠がなければ景品表示法違反となる。(参考:薬事法管理者認定試験受験対策講)
このような事例がある中、広告を出す側に求められることは、消費者に過度の期待を持たせるような意図で虚偽の表示をしないこと、もしくは誤解を招くような表現を控えることである。全てのビジネス・製品をカバーするのが景品表示法であり、具体的な便益をPRしていてもその根拠がない場合は景品表示法違反となる。
健康ジュエリーのように、薬事法上の問題はなくても、表現の仕方によっては景品表示法違反となるケースが多くみられるため、薬事法と景品表示法は切っても切れない関係なのである。公正な競争の上、消費者の利益を守ることが第一であり、事業者は薬事法だけでなく、薬事法と特に密接な関わりを持つ「景品表示法」の存在も忘れてはならない。
(参考文献:公正取引委員会 「だから安心!景品表示法」、薬事法管理者資格試験対策講座)
佐藤 奈津美(セプテーニ)
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