こうした米国での実情を踏まえ、日本での展開については以下のポイントを考慮し、日本版のLGAを構築していくべきだと思われます。
上記の2つのポイントを実現するための具体策として、行動ターゲティングなどをベースとし、ユーザーの興味、関心をターゲティングしたリード取得を実施していくべきであると考えます。
前述のように、現在の米国では、人気ポータルサイトなどに広告を表示させ、広告からの流入によってリードを取得するのが一般的です。
広告をクリックするという行為自体が能動的なアクションであり、その点では確かに興味、関心のあるリード情報と言えるかもしれません。しかし、広告インプレッションを多量にし、単純な広告バナーのCTRによって計算され、取得されたリードデータの質には、一部の米国のマーケティングコンサルタントから指摘の声があがってしまうように、やや疑問が残ってしまうのも事実です。
日本国内において、このLGAがクライアントにビジネスモデルとして評価され市場に定着していくためには、このような米国式の手法にプラスして、より効果的な手法を組み合わせていく必要があると思います。
悪い想像をするならば、米国と同様の手法のみによって日本市場でも実施していくと、効果の薄いリードデータの取引によって、LGA取引そのものに警笛が鳴らされてしまう可能性も高いでしょう。
また、オプト・インとはいえ、ポイント獲得などを目的として登録されたリードデータでは、その後のアプローチによって当該クライアントへのクレームが発生してしまう可能性もあります。消費者とは常に自分本位であると考えておくべきです。
そこで私は、 “日本式LGA”ともいえる新しいスタイルのビジネススタイルを提唱したいと考えます。
その日本版のLGAとは、例えば、興味関心連動型広告「インタレストマッチ」の活用や、クッキーやビーコンなどによって確認されるユーザーの履歴データをベースとしたものです。このような“行動ターゲティング”によってセグメントされたターゲットを、興味、関心別にグループ化し、さらに広告配信時間帯やクリエイティブ(テキスト広告も含む)などの要素も十分に考慮して細分化します。そして、これらの潜在ターゲットに対してリード取得アプローチを実施し、そこからユーザーのリードデータを蓄積していくという方式です。
一言で言ってしまえば、“日本式LGA”を実践できるベンダーとは、緻密なメディアプランからPDCAサイクルの管理可能なサービスが提供できることが前提となってくるということです。
リードデータを広告表示から取得するという点では米国と同じですが、その広告表示までの過程において、緻密なメディアプランニングを実施し、興味、関心層を明確にターゲティングしておくことで、取得されたリードデータの“質”の向上に努めるべきとの考え方です。
最後に、今後、リード活用を検討していく企業(クライアント)にも進言させていただきたいと思います。
LGAの最終的な目標は、取得(購入)したリードを見込み客から顧客、そして優良顧客へと育成させていくことです。これについては、取得したリードがどのように自社サイトにアプローチし最終的な希望到達点まで到達していくのかを、サイト内解析によって解明していく必要があります。
こうしたデータを蓄積しておかないと、単なる一方的なリードへのアプローチを繰り返すことになり、リードは育成されず、結果、ROIも向上していきません。
具体的には、LGA活用を検討している企業は、アプローチしたリードが反応を示した時点からの自社サイト内での行動履歴を把握するために、サイト内解析を同時に強化することが必要であると考えます。
この2つの課題への対応可能なプランが登場することで初めて、日本市場においてLGAビジネスが評価されてくるのではないでしょうか。
1992年大学卒業後、読売広告社に入社。SP局にて販売促進企画を担当、事業局にてスポーツマーケティングに従事し、ニューヨーク支社にて副支社長として北米広告市場を経験。帰国後、営業としてクライアントの課題解決に努め多忙な日々を送る。「人生とは」「ビジネスとは」「広告とは」を考え、2008年4月オプトへ入社、現在に至る。
外資系光学機器メーカーを退職後、渡米。カリフォルニア州立大学サクラメント校を卒業後、2005年1月(株)オプト入社。マーケティング部配属となり、ネット広告全般のプランニングや調査など経験。現在、経営戦略部に所属し、海外の市場動向を探る。
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