ソニーは10月23日、2009年3月期の連結業績見通しを下方修正すると発表した。これを受け、同社執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏、業務執行役SVPの原直史氏登壇による記者会見が開催された。
発表によると売上高は7月時点の見通し9兆2000億円に対し、マイナス2%の9兆円に、営業利益は同4700億円に対し、マイナス57%の2000億円へと下方修正された。為替レートは、1ドル100円前後、1ユーロ140円前後で算出されているという。
「経済情勢の急激な悪化、円高の進行、株式市場の下落など、世界の経済情勢は変化してきている。特に9月からの経済情勢は想像を絶する(状況)。この経済状況が与える影響を考えた上で、連結見通しの調整が必要であることがわかった」(大根田氏)と経緯を話した。
同社では10月29日に2008年3月期第2四半期の業績説明会を開催するが、それに先立ち暫定版として第2四半期の連結業績を発表。売上高は、前年同期比マイナス1%の2兆700億円、営業利益は同マイナス90%の110億円となる見込み。営業利益の減少要因として、金融分野における株式相場下落の影響による400億円強の減少が含まれているとした。
ソニーでは下方修正の要因として、7月時点の前提為替レートに比べ大幅な円高に変更したこと、世界的な景気後退の影響によるエレクトロニクス分野の業績悪化、株式相場の大幅な下落などを挙げている。
中でもエレクトロニクス分野では、液晶テレビ、コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラの3ジャンルで大きな影響が出ており、それぞれの販売見通しを修正。液晶テレビでは1700万台を1600万台へ、コンパクトデジタルカメラでは2600万台を2400万台へ、ビデオカメラでは770万台を700万台に変更するとのこと。
ただしゲーム機に関しては「為替の影響が300億円あるものの、7月時点の見通しは変えない」(大根田氏)ことを表明。PLAYSTATION 3(PS3)は、1000万台の目標台数を維持、プレイステーション・ポータブル(PSP)においては、1500万台から1600万台へ上方修正した。
中間経営方針で掲げられた、液晶テレビとゲーム機の黒字化に関しては「テレビの黒字化はかなり厳しい状況になってきた。2008年度中の黒字化は難しいと予想している。ゲーム機は黒字の販売状況で動いているが、為替のインパクトもあり、比較的厳しい状況になってきている」とし、9月以降の経済状況の厳しさを伺わせた。
業績悪化は米国の金融問題に端を発しており、その影響は米国、欧州、中南米、中国にまで及んでいるとのこと。需要を見込んでいた新興国については「伸びていないわけではないが、伸びがスローダウンしてきている」(大根田氏)と分析している。
下方修正の詳細を説明した後大根田氏は「現在当社は厳しい状況に置かれている。今回の難局はかつてないほど(大きな)マグニチュードの事態だが、これまでの体質強化をベースにこの難局を乗り切りたい」と非常に厳しい事態であることを強調した。
さらに「すでにコスト削減などの策はとっているが、この難局を乗り切るべくさらなるアクションプランを検討中だ」と構造改革に着手することを明らかにした。
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