私的録音録画補償金制度の見直しを議論する、文化庁の文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」の第4回会合が10月20日に開催された。足掛け2年にわたって議論された、iPodなどHDD内蔵レコーダーへ補償金を課金する文化庁案は見送りとなり、結論は2009年以降に持ち越される見通しが固まった。
今回の会合は、7月10日に開かれた前回の会合から約3カ月ぶりの開催。 前回の会合では著作物の私的複製をめぐり、文化庁が暫定措置としてiPodやHDDレコーダーなど記録媒体を内蔵した一体型機器を補償金制度の対象とする案を提出。これに対して「DRMで私的複製は制限されており、補償金は必要ない」と主張するメーカー側と「権利者に対価の還元を行わないのはメーカーのフリーライドだ」と不満を募らせる権利者側の綱引きが続き、議論は方向性すら見出せないままに終息した。
文化庁では、その後も今回の会合開催までに非公式の場において関係者間の意見の調整が図られたものの、結論には至らなかったと報告。しかし、同委員会の開催は2009年1月までとなっており、文化庁著作権課の川瀬真氏は「本委員会では結論は得られなかったものの、それはそれで報告書をまとめなければならない」と述べたうえ、文化庁案に権利者側・メーカー側の両論を併記したかたちで報告書をまとめる意向を伝え、骨子案を示した。
同委員会では、私的録音録画補償金制度の見直しのほかに、著作権法第30条の範囲を見直す議論も行われた。文化庁では、この議論については「違法録画・録音物のダウンロードを違法とすることで大筋合意が得られたと認識している」とまとめ、ダウンロード規制を盛り込んだ著作権法改正案を2009年の通常国会に提出する意向を示唆した。
これに対し、日本レコード協会の生野秀年氏は「ネット上の違法流通の被害は深刻。速やかに法改正をすべき」と発言。さらに、日本映画製作者連盟の華頂尚隆氏は9月18日に京都府警が日本未公開の映画に日本語字幕を付けてWinny上にアップロードした容疑で逮捕された事件を挙げ、「いまや違法アップロードとダウンロードは一体化している。どちらか一方を取り締まるだけでは意味がない」と違法複製コンテンツのアップロードの違法化も求めた。
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