「日産の事例で、会話とウェブの親和性の高さがわかった」。PtoPA CAIWA事業部 マーケティンググループ 飯沼成史氏によれば、ユーザーの発話に対するCAIWAシステムの認識率が非常に高く、そのためユーザーがサイト内のコンテンツに興味を持ち、リピート率も向上していったという。ウェブサイトの評価指標の1つである滞在時間も非常に長かったそうだ。
企業にとってのさらなる付加価値は、ユーザーの会話ログが取得できることだ。「ユーザーがサイト上でどのような発話をしたか、定型的なアンケートでは拾えないような、ユーザーからの何気ない一言が拾えた」(飯沼氏)
CAIWAの事業化を検討していたPtoPAは、ウェブ上でのマーケティングツールとしてCAIWAを使えないか、と考えた。バナー、ブログパーツ、ウェブコンテンツへの組み込み。応用例はいくらでも思いつく。
例えばバナーとして展開すると、こんなことが可能だ。バナー内のキャラからユーザーに話かける、ユーザーがそれに答えていくうちに、バナーはユーザーの求めている情報を絞り込んでいく。日産NOTEに近いやり方である。PtoPAでは、このバナーのことをコミュニケーションバナーと呼んでいる。
化粧品サイトで口紅の販促を想定してみる。バナーが「好きな色は?」「何色の服が好きですか?」「どんな性格ですか?」と質問し、ユーザーはそれに対して答えていくだけ。すると、最後には「この口紅がオススメです」と、具体的な商品を提示し、ユーザーを商品ページに飛ばす。
ユーザーの意思を聞き取り、最適なページに誘導する。「言ってみれば、検索連動型広告とLPOを合わせたような効果をもたらすもの」(飯沼氏)。
ブログパーツならどのようなことができるか。多くのブロガーに貼ってもらうために、会話を軸に話題性を喚起するのがいいだろう。例えば、DVD発売にあわせてブログパーツを発行する。ブログパーツにジャック・バウワーを登場させ、ユーザーと会話できるようにする。
もはや、キャラがブログにいるだけではおもしろくない。そこに会話という要素を加えれば、クチコミ醸成にも応用できるという。
ウェブコンテンツなら、FAQ、案内役、コンシェルジュ的な使い方だ。お問い合わせフォームから返信を待たなくても、タイムラグなく、会話で知りたいことがわかるようになる。
取得したログからは、ユーザーがどういう発言をしたかをチェックする。企業はそれを分析してマーケティングデータとして活用できる。将来的にはユーザーの発言した自然言語を、データマイニングにかけ、感性分析することも視野に入れている。
CAIWAのログから得られるデータは、「答えられた発話の上位ランキング」「答えられなかった上位ランキング」「入力した発話の上位」「付加情報へのリクエスト数」「URLのクリック率」「全部の発話のログ」などだ。
先ほどの口紅に応用すると、いまの口紅の流行や、ユーザーが口紅に期待していることなどをアンケート結果として把握できるだろう。
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