Googleが新ブラウザ「Chrome」をリリースした。しかし、これは今や誰もが知っている古いニュースだ。The Wall Street Journal(WSJ)紙は、全ては(Googleが)Microsoftに対抗するためと指摘しているが、その見解は恐らく正しいだろう。またGlyn Moody氏は、これは決してブラウザの問題ではなく、全ての人々の足元の地面を「Google OS」に変えることに他ならない、との説得力のある主張をしている。恐らく、同氏の見解も正しい。
しかし、Chromeにはあるものが欠けている。そしてそれは、検索やPage Rank技術を除く、Androidなど他の全てのGoogle製品に欠けているものと全く同じものだ。
それはずばり、コミュニティーだ。
確かにMozilla Firefoxのコミュニティーは存在する。FirefoxにはAdblock PlusやForecastfoxといったキラーエクステンションがあるが、これらの開発をMozillaが一手に手掛けているわけではない。コミュニティーが開発しているのだ。
Microsoftの場合も、OSに関するもののみでブラウザに関するものはないが、確かにコミュニティーは存在する。WindowsやOfficeのエコシステムを見ても、素晴らしいの一言に尽きる。
しかし、Googleは、いかなる損害を伴おうとも、独自にやってゆきたいようだ。同社は、Chromeについて、企業秘密だったものが外部に漏れ、その後世界に発表されたものであり、透明なコミュニティーによる取り組みではなかったと認識しているはずだ。Googleは、Androidの時も今回と同様に非公開のコミュニティーを作り、Androidの開発希望者らを苛立たせた。
しかし、これはどれだけ重大なことだろうか。Googleは、コミュニティーの有無に関わらず、独力でMicrosoftに対抗できるだけの十分な力を持ち合わせているのか。
この点は定かではない。Googleはオープンソースにおけるソースコードの意味合いは理解しているようだが、今のところ、オープンコミュニティーの面は理解できていない。しかし、このオープンコミュニティーこそが、Googleにとって最もメリットの大きい要素と思われる。だからといって、「コミュニティー」がGoogleに代わって同社のブラウザを作るわけではない。Googleは、Internet Explorer(であろうが、何であろうが)を何度も作れるだけの十分な開発者を抱えている。そして、開発者らは自分たちがMicrosoftよりも優れた仕事ができると信じており、それは正しいかもしれない。
しかし、ここではそんなことが問題なのではない。重要なのは、Microsoftに対抗するには、Microsoftと違うビジネスをする必要があるということだ。既存のビジネスを破壊する必要がある。OSをブラウザに組み込む発想は、スタートとしては上出来だ。ただ、ブラウザにコミュニティーを組み込み、Googleに代わってコミュニティーにそのブラウザの配布、普及促進をさせた方が、同社にとって間違いなくベターだ。
何をするにしても第1に技術的な問題、第2に人の問題を伴う。そして人の問題は技術的問題以上に「解決」が難しい。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス