マイクロソフトが開発する、Windowsベースでない次世代OS「Midori」を読み解く - (page 2)

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:湯木進悟2008年08月06日 08時19分

 Microsoftが、しばしば製品に対する、まったく新しいアプローチが可能かどうかを模索する、数々のインキュベーションプロジェクトを進めてきたのは注目に値する。現在までのOfficeおよびWindowsへの全アップデートは、いちから再び書き上げたものではなく、ある種のインクリメンタルな改善にとどまってきた。

 2000年に目を向けると、Microsoftは、Officeをオンラインプロダクティビティスイートとして生まれ変えかねないアイデアが数多く含まれた、「NetDocs」と呼ばれるプロジェクトを進めていた。それから8年が過ぎ、これまでに少なくとも3つのバージョンのOfficeがリリースされてきたものの、NetDocsで実現するような製品が発売されるのは、一体いつのことであろうかと、いまだに多くの人々が疑問を呈している。

 このことからすると、Midoriの登場や、Windowsの後継に位置する同様のアプローチは、もし本当に実現するとしても、かなり遠い道のりであると、筆者は感じている。

 Microsoftは、ファイルシステムが例に挙げられるが、Windowsオペレーティングシステムの、わずか1つのサブシステムを変更することにさえ、多大の困難に直面してきた。これまでもMicrosoftは、「Cairo」や「WinFS」などのプロジェクトを進めてきたが、最終的には代わりに、すでに存在するものの上に構築することに固執せざるを得なくなった。

 だが、Microsoftが、オペレーティングシステムに対する新たなアプローチを検討しているという事実は、それほど驚くべき事実ではない。もしMicrosoftが、こうしたアプローチを検討することさえなかったのであれば、それこそ筆者は驚きである。

 Microsoftが、まったく新しいものを実際にリリースすることになれば、これほど興味深いことはないだろう。より小規模で、コンシューマーベースではあったものの、すでにAppleは、Macを新たな方向性へと進めるため、積極的に互換性を犠牲にすることが、これまでに何度かあった。最も顕著なのは、68000のプロセッサからPowerPCへ、OS 9からOS Xへ、PowerPCからIntel製のチップへの移行といった例が挙げられる。しかしながら、Microsoftは、ビジネスおよびコンシューマーの両面で、巨大なユーザー層を抱えており、これまで長く、新たな能力やアプローチよりも、互換性を重視する方針を取ってきた。

 問題は、このアプローチが、今後どれほど継続可能であるのかという点にある。筆者(や他の多くの人々)は度々、Windowsのアップグレードが、あまりにも難しすぎるのではないかと問いかけ続けてきた。LonghornやVistaの例を考えてみてほしい。何年かを開発に費やした後、Microsoftは、主に加えようとしていた構造上の変更点が、あまりにも抜本的なものでありすぎるとの判断を下すに至った。Microsoftは、再び設計段階に戻ったものの、結局のところ、Vistaで加えた、よりつつましい変更点であっても、大きな批判にさらされる結果を招いたのだ。

 筆者としては、例えばAppleがOS XにClassicモードを設けたように、今日のMicrosoftにとって、よりモダンなソフトェア的なアプローチをとりながら、すべてのWindowsをエミュレートするのは難しいのだろうか、と考えてしまう。筆者には、このような考えが選択肢のひとつとなっているかは不明だ。

 しかし、もしMidoriについてもう少し共有したいということなら、喜んで調べたいと思う。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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