Stage 8Hは、「Saturday Night Live」が収録されるスタジオとして有名だ。しかし、7月末からは、NBCが数千時間に及ぶオリンピック中継をインターネットで配信するための臨時のデータセンターに変わっている。
いつものコメディアンたちの代わりに、大勢のNBCの関係者がすべての試合を見て、ハイライトを探し出して編集し、オンデマンドで配信するが、これは、北京オリンピックの映像を米国に配信する入念な準備のごく一部だ。
数十ものオリンピック会場からハイビジョンビデオ映像が光ファイバーケーブル経由で北京に設置されている国際放送センターに送られる。送られたビデオは、たくさんのエンコーダ、「Windows Media」サーバによって、インターネットで配信可能なフォーマットに変換され、衛星を通じて、ニューヨークにあるNBCの本社に配信される。
その後、コネチカット州スタムフォードなどにいるライブブロガーのチームがテキストを作成し、ビデオとコメントを同期できるよう、1分間の猶予が設けられる。準備が整ったら、NBCからコンテンツ配信ネットワークであるLimelight Networksへ送られる。Limelight Networksにはライブイベント専用のサーバが1000台あり、コンテンツをさまざまなインターネットサービスプロバイダに送信し、そこから視聴者に直接配信される。(以下の図を参照)
Limelightの最高戦略責任者(CSO)であるMike Gordon氏は、同社はこのインターネット最大のライブイベントに対応できるように準備を整えていると述べている。「わたしは視聴者数が100万になっても全然驚かない。どれだけ視聴者の数が増えても大丈夫なように、確実に準備してきた」
とは言うものの、これまで、NBCのオリンピックのライブストリーム配信が、2年前にイタリアで開催されたトリノオリンピックのアイスホッケーの決勝戦1試合の放映以外にないことを考えると、危険な要素があることは明白だ。
NBCのインターネット配信担当シニアバイスプレジデントであるPerkins Miller氏は、「NBCは常にリスクを承知で、前よりも大きなことをしようと努力してきた。実際、2200時間の(生中継の)ストリーミング配信のことを考えると、夜も寝られない」と述べている。
わずかな間に多大な努力が結集されている。MicrosoftがNBCOlympics.comを支援する契約を締結したのは1月になってからだ。
NBCには、やりたいことについてすばらしいアイデアがあり、Microsoftとの提携を決めるまえに、プレーヤーの試作品をいくつか作成していた。
当初、現在、インターネットでのビデオ配信の標準となっているAdobeの「Flash」を使う予定だった。しかし、30 Rockefeller PlazaにあるNBCの本社で何度もMicrosoftと終日話し合って議論を重ねた結果、Microsoftは自社が開発した「Silverlight」テクノロジを使えばもっといろいろなことができる可能性があることをNBCに示すことができた。
Silverlightは視聴者が一度に複数のライブストリーム映像を見られるNBCの「control room」構想を実現する鍵となると、Microsoftは述べている。
しかし、Microsoftのチーム内にも、本当に実現できるかどうか不安があった。
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