また、未公開企業の資金調達後の企業価値(Post Money valuation)、いわゆる時価総額の平均は、約7億円となった。これに対して公開企業の3年目の企業価値の平均は6億3600万円。この差について、調査を行った富士通総研経済研究所主任研究員の湯川抗氏は「前回の(公開企業の)レポートでもミニバブルとなっている状況を指摘したが、IPOという1つの成功を収めた企業が6億円程度であるのに対し、未公開企業にはそれ以上の企業価値がついている。過剰な期待値によって今後追加投資を受けることが困難になるのではないか」と分析している。
ただしこの数値はあくまで43社の平均値であり、1期ごとに創業、製品開発、ベータ版完成といったように企業の成長のステージを進めている企業ほど順調に資金を調達し、さらなる成長のステージに向かう傾向にあるという。
興味深いのは、JVR代表理事の北村彰氏によれば、今回の未公開企業の調査では、調査対象となった未公開企業の経営者が、2000年前半に起業になんらかの形でかかわった経験を持っていたり、コンサルティングファームやベンチャーキャピタル出身であったりと、今までにベンチャー企業の経営にかかわったことのある人物が多いということだ。これによって、ベンチャー企業という将来の事業計画の見通しが難しいものに対し、投資家は経営者の経験や経営手腕を買って投資をしているケースが増えているのではないかと分析している。
この調査レポートは無償で提供される見込み。詳細についてはJVRから入手できる。
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