インターネットがもはや当たり前の時代になった今、企業はどのようにこれを活用し、顧客らとコミュニケーションを取っていくべきか。
9月11日に開催された社団法人日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会主催のイベント「第16回WABフォーラム」で、Web広告研究会の中にあるさまざまなワーキンググループ(WG)のリーダー達が、活動成果を含めながら企業コミュニケーションにおけるインターネットの役割について語り合った。
Web研究会WGの活動理念は、ネットの諸問題をオープンなスタンスで研究し、成果を共有していくことである。今回のセッションでは、17のWGのうち、2007年のWeb広告研究会の課題宣言である「コア オブ コミュニケーション」に深く関わるWGのリーダーが集まった。
最近の企業サイトの動向の変化について、企業サイトのマーケティング活用WGリーダーである富士通総研の田中秀樹氏は、2006年12月に大企業を中心に実施した企業サイトの運営実態に関する調査結果を紹介した。
企業サイトのアクセス数は増加傾向にある。特にユニークユーザー数(UU)が伸びているといい、UUが前年より増えたと答えた企業は全体の75.6%にのぼる。アンケートに回答した企業のサイトの月間UUは平均で119万人にも及んでいる。これは雑誌を越えるメガメディアに成長していることを示唆していると田中氏は述べた。
「大企業を対象に取ったアンケートでは、ウェブサイトが非常に役立っているという回答が8割を占めました。そして、社内認知があれば予算がつきやすいという実態も浮き彫りになっています。日頃成果をあげているところは予算がつきやすい。それゆえにウェブサイトへの取り組みは、企業間で差が開きつつあります」
ウェブサイトの取り組みで力を入れたい点についても変化があった。2006年までは個人情報保護法の影響もあり、セキュリティが重要視されていたが、2007年からはブランディング、商品プロモーションに注力しているところが増えてきている。会社情報と商品プロモーションを明確に分け、キャンペーンサイトを別に立てるなど、目的意識をもってサイトを作るというのがトレンドとなっている。
「ターゲットがサイトに誘導されるかを検証することが重要です。これまで効果測定の指標にはページビューが使われていましたが、ページビューを測っても意味がない。どういう内容をどのターゲットに訴求していくか、これが求められているのです」(田中氏)
では、実際に企業ウェブサイトはどのように変化しているのか。これまでのウェブサイトはスペックが重要視されていたが、昨今では顧客体験を重視するようになってきていると商品ブランド・プロモーションWGリーダーを務めるNECの吉見大輔氏は述べた。吉見氏は、ブランドサイトを大きく12のカテゴリに分けて、成功事例を交えながら多様性を増したサイトの種類を紹介していった。
「カタログ型」「CMタレント型」「モニター募集型」のカテゴリーでは、テレビCMなど他メディアと連動し、マスメディアからサイトに誘導している。より体験重視なのが「フラッシュコンテンツ型」で、主体はユーザーにある。それよりもユーザーを主体としているのが「コミュニティー形成型」で、ユーザーの商品理解を深めるとともに、口コミを生む狙いもある。「Blog Feeds連携型」は、ユーザーの反響を収集し、企業コンテンツの一部にしている。
広告主に対して実施したアンケートの結果では、商品認知、知名度向上よりも、商品のブランド育成、イメージ向上が主目的となっている。企業はウェブというツールを商品の育成に使えるのではないかと思い始めていると吉見氏は言う。
「ターゲットを明確化し、新商品か定番商品なのか、商品特性の違いによってウェブサイトの手法を使い分けていく必要があります」(吉見氏)
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