S・ジョブズ氏の健康問題--アップルは詳細を公表すべきか - (page 2)

文:Tom Krazit(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
2008年07月25日 07時00分

 否定がなければ肯定だということらしい。では、Blodget氏を始め、完全な情報開示を求めている人たちは、どのような情報を得れば満足するのだろうか。

 Appleは、日本での「iPod」の販売数に続いて、Jobs氏の白血球の数を損益計算書で公表すればよかったのか。Jobs氏が検査のためにがん専門医を訪れるたびに8-K報告書を提出すべきなのか。話を広げれば、Microsoftは、株主がSteve Ballmer氏が少々太りすぎで神経質だと指摘したからといって、彼の最新の診断結果を公表しなければならないのだろうか。

 Blodget氏は、Jobs氏は「間違いなくAppleで最も価値ある資産」なのだから、その資産が損なわれているのであれば、株主は知る権利があると述べている。確かに、Steve Jobs氏は平均的なCEOよりもずっとAppleの製品の設計、開発に積極的に携わっており、Appleはおそらく、Jobs氏のリーダーシップと先見の明を欠いた1990年代半ばのどん底に戻りたくないと思っていることは、誰もが知っていることだ。

 しかし、Jobs氏とて人間だ。彼は、私たちをテクノロジの悟りの世界に導くために遣わされた半神ではないし、精巧に作られた設計裁定装置でもない。ましてや、Blodget氏自身がこの件に関する最新の投稿で述べたような、単なる「資産」などではない。

 Steve Jobs氏には家族があり、子供もいる。おそらく、子供たちは自宅にMacを持っており、インターネットにつないで、何よりもまず家族の問題であるべき事柄が、このようなに無知に憶測されていることを目にするだろう。

 これが不作法な振る舞いだということを示す明確な証拠が1つある。この問題を取り上げ続ける人たちが、そのたびに無神経に見えることを謝罪しなければならないと感じているのであれば、彼らはおそらく本当に無神経だろう。確かに、Jobs氏は、テクノロジの世界を劇的に変え、無数の人たちを豊かにした1350億ドル企業のCEOだ。そして、前回この件を取り上げたときに書いた通り、Appleの経営陣には、晩年の執務室におけるWoodrow Wilson氏と同じような状況に陥らないようにするという明確な義務がある。

 しかし、Appleの経営陣が株主に対して果たさなければならない唯一の責任は、Steve Jobs氏の健康問題が不利益とならないようにすることだ。それ以上の発表は誤りだろう。BusinessWeekのArik Hesseldahl氏が言うように、詳細を公表する必要はない。Steve(Jobs氏)と話をしたとだけ述べ、そして、懸念する理由がないのであれば、「懸念する理由はない」と言えばよいのだ。

 この件は、写真をもとに女優が妊娠したか、拒食症か、薬物中毒かなどと憶測するStar誌やUS Weekly誌といった雑誌を思い起こさせる。これらの記事に関与する人たちは皆、Britneyの健康にも心から心配していたに違いない。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]