夏野:そうかもしれません。1回目は世界で1番になるのに失敗した、ハイパーネット。あれも世界初だったんですよ。潰れましたけど。でも、僕がハイパーネットで失敗しなければiモードのモデルはなかった。
2回目のiモードは日本国内では大成功したけれども、ドコモは海外に通信免許を持っているわけではなかった。今度(のニコニコ動画)は、日本でも成功させて、海外でも成功させる。「世界で通用するコンテンツプラットフォーム」というのがキーワードです。
夏野:ニコニコ動画は文化に依存しないと思ってます。(ニコニコ動画のインターフェースは)ブルームバーグのテレビ番組みたいなものなんですよ。ブルームバーグは、映像の下に4行ぐらい、違うスピードでニュースなどが流れている。しかも、ティッカーだから、スピードも速い。
僕は「iチャネル」(※編集部注:ニュースや天気などの情報が携帯電話の待ち受け画面にテロップとして流れるNTTドコモのサービス)のときにいろいろ研究したんです。ティッカーってどのくらいのスピードで、どのくらいの長さだったらいけるのかと。結構長い物でもいけるんだけど、一気に読めるものって一息の長さなんです。ニコニコ動画のコメントも一息。だったら、何語にしたっていいじゃない。その指摘はまるで、「カラオケは日本の文化だ」と言っていたようなもので、カラオケは今世界中で使われてますよね。
夏野:やり方はいろいろあります。問題はこの会社の余力があるかどうかというのと、時期でしょうね。いつ、どこを攻めるかが重要だと思っているので。
お金と相談しないといけないという意味では、日本での事業黒字化が一番重要だと思います。やっぱり、海外から見ても、黒字になってないといろいろな企業と取引をする上で難しい。たとえば、広告事業をする場合、単に言語に対応するだけではなくて、広告を誰が集めるのかといった話をきちんとしないといけないので、パートナーが要ります。
夏野:黒字化達成の頃(※編集部注:夏野氏は7月4日に、2009年9月期の黒字化を公約している)には、1つくらいどこかでサービスを開始していたいと思っていますけどね。
西村:黒字にならないと、なかなか自前で動くのが難しいですからね。
夏野:自前で動かないと、(サービスの)安売りになっちゃうからね。ただ、ラテンアメリカでは流行すると思うな。サッカーをみんなで観戦して、「GOAAAAAAAAL!」とかやると思う。
だから、必ず文化的な違いという話は出るんですけど、あんまり意識しないほうが僕はいいと思うし、いままでもそこを意識するあまりに海外に出て行けていない人が多い気がする。逆に、その文化的な違いを建前に、海外に行かなくてもいいと思っている人が多すぎる。
夏野:有料会員もありますし、コミュニティの有料課金も検討していますが、もう1つは広告です。有料モデルと広告モデルの二本柱ですね。だって、毎日160万人のユニークユーザーが訪れるサイトなんですから。
夏野:総額7兆円の国内広告市場のうち、ネット広告は制作費込みでわずか6000億円程度しかないんです。小さいと思いません?プロモーションなどを含めたマーケティング総費用は十兆円以上あるはずなんですよ。その中でネット広告が1兆円にも達していないというのはおかしい。
これから広告は、確実にほかのメディアからネットにシフトしていくと思います。ネット広告市場の拡大というのは間違いなくあります。さらに、ニコニコ動画自体が順調に伸びているので、ネット広告の中でもさらに伸びていく。広告事業は大きな可能性がありますよ。
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