富士フイルムは6月30日、顔検索技術の実験サイト「顔ラボ」において、同社の持つ「笑顔判定技術」を体験できるアプリケーション「スマイルチャンプ」を公開した。
笑顔判定技術とは、デジタル画像で写した顔写真から笑顔を検出する技術。目尻の下がり具合や口角の上がり具合などを認識し、笑顔を数値的に評価することにより「笑顔度」の判定ができる。
今回、公開されたスマイルチャンプは、一般ユーザーがこの笑顔判定技術を体験できるサービス。ユーザーがサイト上に写真をアップロードすると、アプリケーションが自動で笑顔を検出した後、6段階で笑顔度が評価され、ランキングが表示されるというものだ。
顔ラボを担当する、富士フイルム新規事業開発本部ネット応用ビジネス推進部の阿部優子氏によると、笑顔判定技術は技術的には0〜2000点までの点数が付けられるものだという。なお、異なる角度から見た表情は同じ基準での評価が難しいため、正面から撮影した顔写真のみが判定の対象となる。
顔ラボは、イメージングシステムから印刷や医療分野などで同社が所有するさまざまな顔検索技術を、一般ユーザー向けのサービスとして提供することを目的に2008年1月に開設された実験型の公開ラボラトリープロジェクト。画像から顔を検出する技術を元にした「顔シークレット」「顔シャボン」といったサービスや顔検出のAPIも公開している。
自社のコア技術の一部をウェブで公開することについては、富士フイルム内でも当初戸惑いがあったという。しかし、コメントやトラックバックでユーザーからの意見や感想を直接受け付けた結果、非常に驚くほどの反響が帰ってきたと阿部氏は説明する。「我々はコンシューマーをいかに取り込むかというのがもともとあまり得意ではなかったが、顔ラボを開設して以来、コンシューマーとの距離が近くなった」(阿部氏)
笑顔判定技術については、第1弾サービス公開時から数多くの問い合わせがあったのだという。こちらについては現時点でAPIの公開を行っていないが、ニーズや自社の戦略をふまえて検討するとしている。
顔ラボ公開後、「ユーザーとの距離が近くなった」と語る同社だが、一般ユーザーだけでなく、ビジネスとしてもその技術が使われるようになっていると説明する。カゴメが展開するキャンペーン「Smile Link」にも同社の笑顔判定技術が使われており、このほかにもさまざまな分野で商用利用についての問い合わせがあるという。阿部氏も顔ラボの公開について「結果として大成功だった」と語った。
顔ラボでは、今後もユーザーの反応を見た上で、顔検索技術を元にしたサービスを公開する予定だ。また、ベンチャー企業をはじめ他社との提携も視野に入れ、事業を展開していきたいとしている。
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