2007年モバイル広告市場は堆積型・二層式構造だった - (page 2)

シード・プランニング2008年06月24日 14時27分

モバイル広告市場における第二階層の形成

 2000年頃に市場が形成されたモバイル広告市場は、2004年頃に大きな市場環境の変化を伴うことになった。

 その大きな要因のひとつは、2004年頃よりキャリア各社がパケット定額料金サービスを提供し始めたことである。

 各キャリアにおけるパケット定額料金サービスの導入は、潜在的な成長性を期待されながらも、不確実要素を伴っていたモバイル広告市場の成長性の要因を顕在化させることとなった。

 それまでは市場の動向を注視しながらも、新規事業参入のタイミングを見定めていた事業者が、その成長性を見越して事業参入を開始した。

 また、モバイル広告市場にすでに事業参入をしていた広告代理店などの事業者が、モバイル広告事業への経営資源の配分の比重を高めるようになったのもこの時期である。

 2004年を前後として、メディアレップ事業者、メディア媒体社、広告配信事業者などのモバイル広告市場への新参入が相次いだ。

 広告主サイドにおいては、既存のCP事業者、消費者金融事業者の広告出稿拡大トレンドの先行きが見定められるようになり、代わってこれまでモバイル広告への出稿をしていなかった新たな業種の広告主がモバイル広告を出稿し始めるようになった。

 特に、ナショナルクライアントといわれる大手広告主が、消費者とのコミュニケーションの入り口あるいは到達ポイントとして、モバイルを有力なプロモーションツールと見始めた。

 新しい広告主は、PCとは異なるプロモーションツールとしての価値を見出すことで、モバイル独自のプロモーション手法を展開し始めたのである。

 このように、2004年前後以降の新規参入事業や、CP事業者や消費者金融事業者以外の新しい広告主が形成する市場が、「市場の第二階層」と位置づけられる。

モバイル広告市場は堆積型・二層式構造で成長

 2007年のモバイル広告市場は、市場の黎明期よりその成長を担ってきた第一階層の事業者の収入、広告主の広告費支出に一服感が見られると同時に、第二階層に当たる事業者の収入と広告主の広告費支出が急激に拡大することにより大きな成長を遂げた。

 事業者サイドにおける、2007年のモバイル広告市場の成長に貢献した大きな要因の1つが、モバイルリスティング広告市場の成長である。

 2006年にモバイル広告市場に参入した「オーバーチュア」と「Google」は、キャリアや有力モバイルメディアとの提携により、広告配信ネットワークを急速に構築した。

 その結果、「オーバーチュア」と「Google」は2007年のモバイル広告収入を急激に拡大させて、モバイル広告市場の成長に大きな貢献をしている。

 新たなモバイルメディアの成長も2007年のモバイル広告市場の成長に大きな貢献をした。

 2004年にモバイルサイトを開設し、2006年末にサイトリニューアルしてモバイル広告市場へ本格参入した「ミクシィ」は、2007年には「mixi モバイル」の広告収入が大幅に拡大した。

 モバイルメディアとして、2007年のモバイル広告市場の成長に最も貢献したとされるDeNAの「モバゲータウン」のサイト開設は、2006年2月である。

 このように、モバイル広告への新規参入事業者が市場成長に大きく貢献したことが2007年のモバイル広告市場の特徴的なポイントとして挙げられる。

 次に、広告主サイドの変化を見るための一例として、ビジュアルワークスが運営する有力CGMサイト「フォレストページ」の広告主の動向を見ることにする。

 フォレストページの2007年の広告収入は、2006年対比で大幅に拡大している。

 以下は、フォレストページの2006年と2007年の1月から8月までの広告主業種別構成比を示した2つのグラフである。

モバイル広告市場

 2006年と2007年を比較すると、ナショナルクライアントの比率が大きく拡大していることが見て取れる。その他にもEコマース事業者の比率が高まっていることがわかる。

 フォレストページでナショナルクライアントの広告出稿が拡大した要因は、従来モバイル広告市場で大きな構成比を占めていた「純広告」と呼ばれるメール広告や、ピクチャー広告ではなく、「編集・タイアップ型」の広告商品の企画・開発が、新たな広告主の需要に結びついたためである。

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