市場調査会社comScoreが出した新しい統計を見ると、2008年5月は、ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)市場の首位が入れ替わった可能性がある。世界全体のユニークビジター数の比較で、Facebookが長年のライバルMySpaceを初めて上回ったようだ。comScoreの関係者によると、実は2008年4月にFacebookが僅差でMySpaceを抜き、5月になってその差を広げたという。
comScoreの統計では、5月におけるFacebookの月間ユニークビジター数は1億2390万人で、それに対してMySpaceは1億1460万人だった。また、ページビューは、Facebookの506億ページに対して、MySpaceは454億ページとなっている。2004年に、当時ハーバード大学の学生だったMark Zuckerberg氏が立ち上げたFacebookは、ゆるやかながら確実な成長を遂げてきた。Facebookは当初、電子メールアドレスで会員を一部のエリート大学生に制限していたが、徐々に一般にも対象を広げ、2007年には開発者プラットフォームをリリースしてシリコンバレーの注目企業になった。
一方のMySpaceの歴史は、これとはまったく異なっている。MySpaceは2003年に設立され、インディーズバンドやそのファンをターゲットにして、比較的短期間のうちにマスマーケットで成功を収めた。
しかし、両社が本拠を置く米国においては、2005年に買収されてNews Corp.傘下に入ったMySpaceが、Facebookに大きな差をつけている。同じcomScoreの統計で、米国における5月の月間ユニークビジター数は、MySpaceの7370万人に対して、Facebookは3560万人だった。どちらのサイトも、4月と比べてユニークビジター数はあまり伸びていない。他の市場統計会社も、似たような結果を示している。たとえば、Competeが発表した両サイトのグラフでは、MySpaceのトラフィックが米国において縮小傾向にあるのに対して、Facebookは着実に成長を遂げている。だが、驚くほどの伸びではない。
このことから、Facebookの現在の成長は、主に米国外のサイトによるものだとする一般的な見方が、裏付けられたように見える。そして、当然のことだが、統計の数字は正しいのだろう(comScoreを含むオンライン調査会社は、ウェブ企業や広告会社から依頼を受けて詳細な調査を行うことがよくある)。また、MySpaceの米国外のトラフィックには一部、ドメインが「MySpace.com」ではないトラフィックが含まれている。たとえば、MySpaceの中国語サイトは「MySpace.cn」だ(comScoreの関係者はのちに、MySpaceのトラフィックの数字は、同サイトの全ドメインを合計したものだと述べている)。
Facebookは2008年1月、同サイトの各国語版を提供するという計画を明らかにした。MySpaceが、他の英語圏の英国やオーストラリアなどに向けて、米国サイトとは別のバージョンを2006年に初めて立ち上げてから取り組んできたことと、同じ路線の動きだ。MySpaceには現在29のローカライズ版があり、20カ国にオフィスを構えている。MySpaceは以前、自分たちの目標は地域文化に根ざしたコミュニティーを築くことで、すべて同じネットワークツールを単純に世界全体に広めることではない、と説明したことがある。
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