しかし、Appleのパートナーである携帯キャリアにとって、この数字は間違いなく重要だった。Appleは、iPhone 1.0では、iPhoneにどのアプリケーションを表示するかを完全に管理しつつ、AT&Tを始めとする携帯キャリアのデータサービスの利益の一部を受け取る、きわめて有利な契約を取り決めていた。
Appleはある意味で一方の当事者としての責任を果たし、ネットワークを乗り換えさせ、データ利用を推進するしっかりとした製品を提供したが、指定されたネットワークからロックを解除したいと考える人たちからiPhoneを守ることはできず、一部の携帯キャリアは、ライバルがiPhoneのデータ利用で利益を上げるのを見ているしかなかった。携帯キャリアは新しくおもしろい方法で自分たちのネットワークを切り開いているかもしれないが、彼らの携帯市場への影響はまだ衰えてはいない。
Appleが、新しいiPhoneでjailbreak、ロック解除を難しくするための技術変更を行うかどうかは不明だが、少なくとも、米国では、購入者が2年契約を結び、AT&Tのネットワークでアクティベートしなければ、iPhoneを持ち帰れなくするつもりである。それでもロック解除はなくならないだろうが、ある程度抑制することはできるだろう。
もちろん、どんなに良い関係でも、妥協はつきものだ。Appleは、利益分配をあきらめ、目新しい自宅でのアクティベーションサービスをあきらめる代わりに、報奨金を受け取れるiPhoneを得ることになる。これにより、iPhoneの価格が下がり、Apple自身がコストの減少分を吸収すれば、Appleの製品マージンを下げずに、販売を促進できるはずだ。また、売り上げの増加により、分配されていた利益の損失も相殺されるはずだ。
そこで大きな問題になるのは、iPhone 3G、そして新しいビジネスモデルにより、Appleは1000万台という2008年の販売目標を達成できるのかということだ。Jobs氏が基調講演で述べたように、Appleのこれまでの販売台数が600万台だとすると、2008年の現時点までのiPhoneの販売台数がわずか230万台しかないAppleにとって、目標達成は長い道のりになる。
新しいiPhoneは7月11日まで発売されないことも、6月9日の午前中の基調講演で最も驚いたことの1つだ。もちろん、Appleは、「翌年」以降、いつiPhone 3Gを出荷する予定かについて、決して詳しく述べることはなかった。Jobs氏は、2007年はこの点について「翌年」と幾度か答えていた。しかし、AppleがiPhoneのデビュー1周年を新モデルで飾る機会を逃すわけはないとほとんどの人が思っており、少なくとも、Apple自身が6月末までにiPhone 2.0のソフトウェアを発売すると約束した。
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