そしてもう1つ、近年大きく発展したジャンルとして挙げられるのが、「デコメール」(NTTドコモ)、「デコレーションメール」(au)、「デコレメール」(ソフトバンクモバイル)といった装飾メールの素材だ。モバイル・コンテンツ・フォーラムの発表によると、2006年時点での市場規模は約55億円に達している。
このジャンルのコンテンツが急成長したのには、やはり装飾メール利用者が増えたことが挙げられるだろう。NTTドコモを例として挙げると、デコメールの市場規模は2007年8月時点で単月で7億円。送信数が2007年3月時点で約2億通に達しているほか、デコメ絵文字対応機種の利用者では4人に1人が毎日デコメールを利用しているなど、多くのユーザーに装飾メールが定着しているようだ(「NTTドコモレポート No.56 デコメールの利用動向」より)。
装飾メールの素材といえば、従来はいわゆる「手描き風」のものが人気を得ていた。だが最近では、「デコメ絵文字」と呼ばれる動く絵文字が、利用可能な携帯電話が増えたことで高い人気を博すようになってきている。
ちなみに、装飾メールコンテンツの需要が最も高まるのは年末年始である。年賀メールで装飾メールを使う人が多いからだ。送られた側も装飾メールで返信しなければと感じ、普段は装飾メールを使わない人でも利用するようだ。特に2007年末は、人気のご当地キャラや芸人などを使ったお正月バージョン素材がでるなど、素材のバラエティも充実していたことに加え、キャリアが装飾メールを積極的に告知、また装飾メールコンテンツ事業者がバナー広告やキャリアポータルトップへの広告出稿をはじめとするプロモーションを積極的に展開したこともあり、多くのサイトが年末需要をうまく獲得した印象がある。
装飾メールコンテンツの課題は、年末需要などで取り込んだユーザーをいかにキープしていくかということと、無料で装飾メール素材を提供する一般サイトの影響力が非常に強くなっているということだ。後者は特に、キャラクターなどの版権を持っていないところが大きな影響を受けやすい。そこで、季節ものや世の中のトレンドを積極的に取り込んだり、読者モデルや人気アーティストに素材を作ってもらったりすることで差別化を図る傾向が見られる。
今後、市場拡大が見込まれるジャンルとして注目しているのが、「きせかえツール」(NTTドコモ)、「EZケータイアレンジ」(au)、「カスタムスクリーン」(ソフトバンクモバイル)などの「着せ替えメニュー素材」である。対応端末の普及が進んでおり、携帯電話をカスタマイズしたいという要望も増えている。
ジャンルとしては、やはり版権もののキャラクターが主流となっている。だが最近では、いわゆる「キラキラ系」など版権ものではない素材も多く見られるようになった。
着せ替えメニュー素材は、端末ごとにその仕様が異なることから素材の点数を多く作成する必要があり、制作費が高くなってしまうという問題がある。だがそれゆえに、待ち受け画像や装飾メール素材のように無料で提供されることが少なく、競争が厳しくないというメリットもある。利用可能なユーザーが増え、世間での認知度が高まっており、参入するコンテンツプロバイダーも増えているので、市場として大きな成長が期待できる。
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