2006年には、さらに新しいコンセプトのQuietComfort3が登場する。QuietComfort2は耳をすっぽりと覆うアラウンドイヤー型だったが、QuietComfort3は耳に乗せるオンイヤー型という新しいヘッドホンのコンセプトを提案。大幅にコンパクト化、軽量化が図られた。だが、2から3への進化は、大きさや重さだけではない。QuietComfort3を作りあげるためには音質やノイズキャンセリング機能などのテクノロジーの大きな発展が必要であった。
ここで、改めてノイズキャンセリングの原理に戻ろう。まずノイズキャンセリングは、イヤーカップに内蔵したマイクで、周囲の音をすべてモニターする。次に、ヘッドホンで再生する音と外部の音を比較することで、騒音と必要な音を識別する。そして、騒音とまったく逆位相の音波を流すことで、音響的に騒音を打ち消している。
そのため、イヤーカップやイヤーパッドのできが悪いと、外部の騒音を正確にモニターできず、耳とイヤーパッドの隙間から外部の音が入ってきてしまい、ノイズキャンセリングは台無しになる。イヤーカップやパッドといった、ノイズキャンセリング機構以外の素材や設計の完成度の高さが、ノイズキャンセリングの性能を左右することになるのだ。
それゆえに、効果の高いノイズキャンセリング機能とコンパクト化を両立させるのは至難の業。2006年にQuietComfort3が発売されても、オンイヤー型のノイズキャンセリング・ヘッドホンはこれまでボーズ以外で発売されたことがない。このことからも、いかにオンイヤー型でノイズキャンセリング・ヘッドホンを実現するのが難しいのかが良く分かる。
ボーズでは、超低反発素材をイヤーパッドに採用。適度に柔らかく耳にぴったりとフィットするので、ノイズがイヤーカップに進入しにくいため、オンイヤー型のコンパクトサイズでも、QuietComfort2と同等のノイズキャンセリング性能を実現しているのだ。
高い機能を実現しながら、高級感のあるデザインを両立させているのも特長だ。オーバーヘッド型の場合、いわゆるクラブDJが着けているような大げさなデザインのものも多い。スーツを着た大人が電車や飛行機で着けていたら、かなり見た目が痛いことになる。高級感あふれるデザインのQuietComfort3なら、大人が着けていても違和感がない。オンでもオフでも、ある程度の大人が着けたほうが似合うくらいだ。
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