「スクウェアだけの時代はソニー(・コンピュータエンタテインメント向け)一色だった。効率はよいが、他のノウハウが全く得られない。エニックスと一緒になったことで、任天堂との仕事や出版、モバイル、アジア市場といった多極化へと進む良い改革ができた」――5月23日に開催されたスクウェア・エニックスの連結決算発表会において、代表取締役社長の和田洋一氏はこのように述べ、これまでの同社の経営改革について自信を示した。
ただ、今後については「現在はまた新たな局面が訪れており危機感を持っている。2010年にはメディアとコンテンツ市場がひとつになると予測している。それに向けてソフトの開発体制の見直しなど大きな改革をしている」とした。
2008年3月期の業績は売上高が前年同期比9.8%減の1475億1600万円、営業利益が同17.0%減の215億2000万円、経常利益が28.1%減の188億6400万円、純利益は20.9%減の91億9600万円となっている。
事業別の売上高は、ゲーム事業が前年同期比19.0%減の415億8800万円、オンラインゲーム事業が同11.4%減の120億9800万円、モバイル・コンテンツ事業が同15.3%減の65億7900万円、出版事業が同0.4%減の111億5800万円、アーケードゲームを主軸としたAM等事業が同8.7%減の691億400万円、その他事業が同126.4%増の90億500万円となった。
ゲームソフトの全世界合計の販売本数は、前期比252万本減の1441万本。うち、国内は752万本となった。ヒットタイトルとしては、ニンテンドーDS向けの「ドラゴンクエストIV」が国内のみの販売で115万本、「ファイナルファンタジー IV」が同59万本。ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング」は国内が54万本、北米と欧州あわせて50万本。PSP(プレイステーション・ポータブル)向けの「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」が国内80万本、北米45万本。Wii向けの「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」が国内で49万本、北米11万本だった。
和田氏は、当初2008年3月期に発売予定だった、主力シリーズのドラゴンクエスト最新版「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」の発売時期について「当年度は出すつもりで作っている。販売の時期などの詳細は決定した時点でお知らせする」とし、「前年度も同じことを言ったが」と自ら苦笑する一幕もあった。
販売見込み数については、「ニンテンドーDS向けに作っているので、ひょっとすると1000万本台という数字もない話ではないが、わからない。ただ、『ドラゴンクエストIV』が国内で100万を超えているので、下(最低限)の数字の予想はできる。上の予想はつかない」とした。
ネットワークゲームについては、日米欧で50万人の会員を獲得している多人数同時参加型ロールプレイングゲーム(MMORPG)「ファイナルファンタジーXI」の運営を中心に展開している。和田氏は、「次の世代にスイッチする時期に来ている。ただし、ファイナルファンタジー次期バージョンを当年度にリリースするかどうかは決まっていない」と話した。
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