リサーチに関するコラムは今回で2回目となりますが、前回は「ここだけは押さえたい。ネットリサーチのつぼ」と題し、市場概況をリサーチする上で最低限意識しなくてはならない4つのポイントを説明しました。
今回のコラムでは、その半歩先を行くための細かい戦術のようなものを紹介したいと思います。リサーチは良くも悪くも、調査の内容次第でその結果が大きく変わってきてしまいます。たった半歩先かと思われるかもしれませんが、この半歩が非常に大事なのです。
製品やサービス、またウェブサイトのデザインや使い勝手などを、自社と競合で比較する際に気をつけなくてはならないポイントです。
自社製品やウェブサイトを知らない、もしくは使っていない方はあまりいないと思いますが、忘れがちなのは競合製品についても利用してみる事です。使ってみる事で競合と自社との違いが見えてくることがあります。そうすると、新たに仮説や検証をしなくてはならないポイントを見つけ出すことが出来ます。
また、選択肢の抜け漏れチェック、表現方法の不一致による認識のズレを見つけ出すためにも、体験する事は非常に重要です。
最近では、「ペルソナ」という言葉を頻繁に見るようになりました。ペルソナとは、調査から得られたデータをもとに、象徴的なユーザーモデル(架空の人物)を作成することですが、ユーザーモデルを設定することで、プロモーションのプランニングや広告クリエイティブの制作が具体的かつ効果的になると言われています。
上記したように、ペルソナを行う意味はその消費者(ターゲット)の立場になりきることにあり、最近では4P分析だけではなく、マーケティング要素を顧客視点で分析する4C分析の重要性が語られています。4C分析とは、顧客価値(Customer Value)、コスト(Cost)、利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の4要素からなる分析手法のことです。
「ユーザー中心の……」「ユーザーの立場から考えた……」といった表現をする企業が増えてきていますが、ユーザーの立場になって考える事は予想以上に難しいものです。自分ではその立場になりきっているつもりでも、結局は自分自身が想像しうる範囲を抜け出せないケースが多くあります。
もちろん、これがすべてを解決してくれる完璧な手法というわけではありませんが、リサーチを少しでも実りのあるものにする為には、なりきり、想像し、各個人が持つバイアスを極力消し去ることが重要となってきます。私の経験上、これをやるとやらないとでは調査の質が大きく変わってきます。
これは、各設問における分析軸を1つに絞るということです。
多くの場合、調査料金はその設問数とサンプル数によって決まっている為、設問数やサンプル数が増えると調査料金が高くなります。
一番困るのが、調査表を設計し終わり設問数を数えると11問というケース。基本的に調査料金は5問か10問のテーブル料金制であるため、11問の場合15問、もしくは20問分の調査料金がかかってしまうことになります。
そこで生まれる発想が、2つだった設問を無理くり1問にしてしまう方法です。絶対ということはありませんが、私の実体験(失敗経験)からもお勧めできません。対策としては、最も優先度の低い設問を1つ削る、もしくはお金よりも調査から得られるデータの価値に重きを置き、15問(もしくは20問)料金で実施する事が妥当でしょう。
誰だって仕事の効率化を図りたいのは当然であり、インターネットリサーチが普及している背景はここにあったりもします。ここで言う手間を惜しまないとは、ずばり「自由回答を恐れない」という事です。
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