Advanced Micro Devices(AMD)がサーバ向けプロセッサのロードマップを大幅に見直した。新しく6コアのプロセッサを追加し、次世代コアの導入は2010年以降に先送りする。
「Barcelona」の混乱をようやく切り抜けたAMDは、サーバ向けの計画を厳しく見直した。同社は現行のプロセッサコア技術を2010年まで延命させる。また、新たに6コアのプロセッサ「Istanbul」(開発コード名)を2009年下半期にリリースする計画を追加した。
新たなロードマップでは、2007年12月公開のロードマップ(PDFファイルの21ページ目)までは存在した4コアと8コアのプロセッサ「Montreal」(開発コード名)は完全に姿を消している。これに替わって6コアの「Sao Paulo」(開発コード名)と12コアの「Magny-Cours」(開発コード名)が追加された(開発コード名はどちらもF1レースの開催地にちなんでいるそうだ)。登場は2010年上半期の予定で、基になるプロセッサコア技術はBarcelonaと同じだと、AMDのコーポレートバイスプレジデントでサーバ部門を率いるRandy Allen氏は話している。つまり、2007年7月に発表された次世代コア「Bulldozer」(開発コード名)は、このチップでは使われないということだ。
こうした変更は、AMDが計画を確実に履行することを主眼にしているものと思われる。Barcelonaがもたらした危機は2点ある。まず、技術の実装に関する問題により、チップが約1年遅れた。さらに、AMDは、安定し、信頼に足る企業向けコンピューティングのサプライヤーへと変貌を遂げようとしたが、かえって制御不能に陥っているのではないかという懸念が、同社の顧客と投資者の間に広がった。
ただし、AMDは「Opteron」を投入するまで、サーバ市場での実績はないも同然だった。しかし、Opteronがその状況を変えた。Opteronのリリースにより、AMDはFortune 500企業のサーバルームでよく知られる存在となり、世界中のあらゆる主要なサーバベンダーにプロセッサを供給するサプライヤーとなった。
しかし、Barcelonaの惨状により、顧客のAMDに対する見方は変わった。顧客からの意見も、とにかく情報をまめに提供してほしい、ホームランを狙って大振りするな、といった直接的なものになっていたようだ。
Sao PauloおよびMagny-Coursでは、より高速なDDR3メモリへの切り替えに対応する新しいチップセットへの移行が必要になるほか、同社の45ナノメートル製造テクノロジを用いて製造される予定だ。Istanbulは、Barcelonaあるいは「Shanghai」向けに作られたサーバにそのまま導入が可能なので、Barcelonaを使用している顧客は容易にプロセッサをIstanbulに置き換えられる。Shanghaiとは、2008年内に市場投入が予定されているBarcelonaの45ナノメートルプロセス採用版につけられた開発コード名だ。次世代コアを採用するMontrealは、2009年にAMDの製品ラインに加えられる予定だったが、リリースは2010年以降に変更された。
Istanbulが、Intelの6コアサーバ用プロセッサ「Dunnington」に対抗するものであることは明らかだ。IntelのDunningtonは2008年下半期にリリースが予定されている。これに対しAMDのIstanbulは2009年下半期までリリースされず、Intelの「Nehalem」世代プロセッサの出荷開始からかなりの後れを取ることになる。
それでも、Istanbulは、AMDが2010年に向けた新しい計画に注力するための時間稼ぎの役割を果たすはずだ。2007年7月までは、AMDにとってBulldozerが新計画の中心だった。だが、「Fusion」プロジェクトの一環として設計された強力なモジュール式コアのBulldozerコアをベースにしたチップの計画は、2007年12月にAMDの製品ロードマップから消えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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