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「auの特徴が失われている」--KDDI小野寺社長、携帯電話事業に危機感

永井美智子(編集部)2008年04月24日 19時21分
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 「auの特徴が少し失われている。サービスや端末など、先進的だというイメージが薄れていることが問題だ」――KDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は、4月24日に東京都内で開催された2008年3月期連結決算の会見にてこのように述べ、au事業への危機感をあらわにした。

 2008年3月期のau事業の業績を見ると、営業収益(売上高)は前年同期比6.9%増の2兆8626億円、営業利益は同18.0%増の4550億円と順調な成長を見せている。にもかかわらず小野寺氏が危機感を抱くのは、「商品管理の甘さ」(小野寺氏)が社内に見られるからだ。

 具体的に小野寺氏が指摘したのは2点。1つは、3月に発覚した端末「W42K」の発火事故だ。2006年6月に販売されたこの端末に搭載されている電池パックの一部で、電池パックの外部にキズやヘコミがつく程度の力が加わった場合に発熱、膨張し、発煙や破裂に至る可能性が発覚した。3月時点で13件の事故が発覚しており、電池パックの回収、交換を余儀なくされた。

 もう1つは、新しい携帯電話向けのプラットフォーム「KCP+」の開発の遅れだ。これにより、当初2007年12月に予定していた一部端末の発売時期を延期。結果として2007年冬のボーナス商戦における商機を大きく逃した。「新端末の出荷の遅れを含め、いろいろなところに悪影響がでた」(小野寺氏)

 KDDIでは2008年3月期中に、契約数の3000万件突破を目標にしていた。ところがボーナス商戦でつまづき、結果として2008年3月期の第4四半期(1〜3月)において多額の販売一時金をかける必要に迫られた。KDDIはこれまで販売一時金を削減する方向で動いており、2007年3月期には1台あたり平均3万7000円だったものを、2008年3月期第3四半期には3万5000円まで減らしていた。ところが、販売台数を伸ばすために、第4四半期には1台あたり平均4万1000円もの一時金が必要となった。結果として2008年3月末には契約数が3010万5100件と目標を上回ったものの、大きな費用負担が発生し、通期の利益予想を下方修正する羽目に陥った。

 「一時奨励金については今後、再整理する。正常な形に戻したい」(小野寺氏)

auの販売一時金の推移 auの販売一時金の推移(クリックすると拡大します)

 端末の契約数が全キャリア合計で1億件を超え、携帯電話市場は飽和状態にある。KDDIでは2009年3月期の市場全体の純増数は390万件になると見込んでおり、KDDIとしては純増シェア32.3%の126万契約増を目指す。

 ライバルのNTTドコモは、ブランドロゴの変更を発表し、新規契約者の獲得よりも既存契約者の維持に力を注ぐと表明したばかり。しかし小野寺氏は、「auでは既存の契約者を守るとともに、新規の顧客も獲得していく。この2つは両輪で進める」と攻めの姿勢を見せる。

 「個人の新規契約は減っていくが、機器間通信や法人市場はまだ伸びると考えている。特に機器間通信の分野は将来大きく伸びる可能性がある。たとえば日本国内に3000万台あるといわれる自動車すべてに通信モジュールが載るといったことを考えれば、2億という市場規模もありうる」(小野寺氏)として、固定通信と合わせた提案などで市場を拡大していく考えを示した。

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