ソフトバンクの株価に上昇期待が高まってきた。携帯電話・PHSのナンバーポータビリティ(番号持ち運び制度)の導入に伴う契約純増数好調が改めて評価されているのに加え、端末の原価低減や価格見直しによる付帯事業の採算改善により2009年3月期業績の向上期待が高まっているためだ。
電気通信事業者協会が4月7日に発表した、2007年度の携帯電話(PHSを含む)契約数によると、NTTドコモの同年度末のシェアが49.7%と1998年12月以来初めて50%を割り込んだ。そして、携帯電話のシェアでは2位のKDDI(auとツーカー)が29.5%(前年度末比0.4%増)、3位のソフトバンクモバイルは18.1%(同1.7%増)と、KDDIとソフトバンクの健闘が目立った。
さらに、ソフトバンクモバイルは、3月の1カ月間の純増数でもトップとなり、拡大の勢いが継続している。3月末時点での携帯電話の契約数は1億272万4500件で、前月比1.3%増となった。また、このうち携帯IP接続サービスを契約している数は8868万6100件だった。事業者別契約数では、NTTドコモグループが17万3700件の純増で累計5338万7700件。auとツーカーを合わせたKDDIグループは、純増数50万500件で累計3033万9100件。このうち、auが純増数54万3100件で累計3010万5100件、ツーカーは4万2600件の純減で累計が23万4100件となった。ソフトバンクモバイルは純増数54万3900件で累計1858万6200件、純増数1位を堅持した。イー・モバイルの契約数は純増数13万200件で41万1500件だった。
好調のソフトバンク・KDDIと、低迷するNTTドコモの明暗を分けた要因のひとつが料金プランの設定持期にあったようだ。ソフトバンクが2月から学割プランを投入したのに続き、KDDIは3月1日から家族間通話の定額プランを導入し、顧客の支持を得たようだ。NTTドコモも家族間通話の定額プランを提携したものの、4月からとなったことが遅れを招いたようだ。ソフトバンクの強みは、ソフト販売で蓄積した柔軟な営業力にあり、携帯電話事業では、割安な通話料金と割賦販売を組み合わせた新たなスキームが原動力となり好調が持続しているようだ。
ソフトバンクの株価は、3月18日に年初来安値の1653円をつけて以降、反転上昇に向かい4月8日には一時、2025円まで買い進まれるなど続伸となった。取引時間中に2000円台をつけたのは3月7日以来約1カ月ぶりのこと。市場関係者からは「株価が週足チャートの13週移動平均線を上へ抜いてきたことや、日足での25日線と5日線のゴールデンクロスも買い支援材料となっている」との見方も出ている。 ソフトバンクは個人投資家のマインドを象徴する銘柄だけに、2000円台回復後の値動きに注目が集まりそうだ。
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