アイ・オー・データ機器が静かな上昇を続けている。
株価は2カ月前の安値575円を基点に、4月7日には760円まで上昇。この間、32%の値上がりとなった。直近では3月24日から4月7日まで11営業日連続で、前日比マイナスのない堅調な推移が続いている。なぜか。
同社は記録型DVDなどで高いシェアを握るパソコン周辺機器大手。業績は2006年6月期に営業損益段階から赤字に転落し、2007年6月期も経常利益でのみ黒字浮上するに留まるなど、低迷していた。しかし、業績は今期に入り急回復基調に転じている。
今期業績は既に2007年10月末と2008年2月に2度、増額修正を行っている。連結売上高は前期比5%増の649億円、経常利益は同9倍の10億円を計画する。
年末商戦期に主力のストレージ製品が売り上げを伸ばした。HDD製品では外付けタイプが好評で、次世代DVD製品の立ち上がりに伴ってDVD・CD-R/RW製品も成長している。利益率の良いワンセグチューナーなども好調に推移しており、DVDについては次世代規格がブルーレイに一本化される見通しとなったことで今後、中期的な需要増加が期待されている。会社側は過去の業績悪化なども背景に業績計画を保守的に見積もっており、再増額修正への期待も底流している。
会社側では今後、法人市場の開拓や保守などサービス市場の開拓に力を入れていく方針を示している。また、NGNや地上デジタル放送関連など、有力市場の深耕に取り組んでいくことも掲げている。
これまでの新興市場では楽天やサイバーエージェント、ぐるなびといった時価総額上位のネット株と、それ以外という分類がされ、資金流入が観測され上値追いを続けているのは前者だけだった。3月第4週までの新興市場(東証マザーズ、ジャスダック)の投資主体別売買動向をみると、投資信託が9週連続、信託銀行が8週連続で買い越していた。これらの資金が好むのは新興市場では流動性のある主力ネット株だった。
ただ、4月に入り主力ネット株には買い疲れ感が台頭。さすがに物色銘柄に広がりが見え始めた。そこで個人投資家の買いを集めているのが、アイ・オー・データ機器に代表される好業績銘柄だ。
アイ・オー・データ機器株は年初来高値を連日で更新。2007年11月に付けた高値706円も更新し、底打ち・反転トレンドが明確になりつつある。底値からの上昇率は3割を超えているが、出来高の急増などはなく、まだ過熱感は台頭していない。静かな上昇を続けるアイ・オー・データ機器をけん引役に、華のある主力ネット株以外の “その他銘柄”にも見直しの目が向き始めているようだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」