SpiralFrogが公開企業ではないという点は注意しておくべきだ。同社の株式はどこの取引所でも売買されていない。しかし、一部の初期の投資家との特異な取り決めによって、SpiralFrog(本拠地:ニューヨーク)は決算を公表することが義務づけられていた。しかし結局、新しい投資家らはそれほど決算の公表にこだわっていないことがわかり、取締役会はその慣行を廃止することに決めた。Mohen氏によると、SpiralFrogの一部のパートナーは同社がビジネスモデルの詳細を公表することも好ましく思っていなかった。
この意味するところは、Mohen氏は惨憺たる第3四半期の決算を報告した後は、今後一切SpiralFrogの発展(または発展していないこと)を公表する義務がないということだ。9月30日締めの四半期では、SpiralFrogは340万ドルの損失を計上し、売上高はわずかに2万400ドルだった。
したがって一般大衆はSpiralFrogのビジネスモデルに関していかなる洞察も得られなくなるわけだ。代わりに同社が出してきたのは非常に疑わしい主張だった。SpiralFrogは先週、登録ユーザー数が85万人を超え、「iTunes」とRealNetworksの「Rhapsody」音楽サービスに続いて第3位の楽曲ダウンロードサイトになったと発表した。
「AmazonやeMusicはどうなるのか」と筆者はMohen氏に尋ねた。
「当社にはeMusicよりも多い登録ユーザーがいる」とMohen氏は答えた。そして、Amazonは販売店なので計算に入らないと言い添えた。SpiralFrogは広告付きサービスであり消費者は何も買わない。筆者はiTunesだって販売店ではないかと指摘しようとして思いとどまった。SpiralFrogが念入りに仕立て上げた成功は、いとも簡単に崩壊しかねないのは明白だった。
「この主張はばかげている」とeMusicの最高経営責任者(CEO)であるDavid Pakman氏はCNET News.comに電子メールで述べた。「(SpiralFrogは)広告入りの無償サービスだろう?登録するのに費用はかからないのだろう?ユーザー名とパスワード入力するだけでクレジットカードだって要らないのだろう?それでも登録ユーザーが85万人しかいないのか?eMusicでは金を払っている加入者の数がゆうに40万人は超えている。これらのユーザーは有効なクレジットカードで有料サービスに登録しており、請求を受けている。彼らは代金を払って2億曲近い楽曲をダウンロードしているのだ」(Pakman氏)
Pakman氏はさらに続ける。「SpiralFrogにとって重要な2つの指標は、無料の楽曲のダウンロード数とレーベルに支払った金額だけのはずではないか?無料登録者の数など何の成功の指標にもならないだろう」
ウェブのトラフィック量を測定しているAlexa.comの調査によると、ランク、リーチ、ページビューでeMusicはSpiralFrogをはるかにしのいでいる。
SpiralFrogの成功を判断するための重要な指標は何かというPakman氏の質問は意味を持たなくなる。同社は今後一切、決算を公表しないからだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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