誰がために新興市場は在る--迷走する大証・ジャスダック統合問題

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 ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の統合が、足踏み状態となっている。

 投資家たちの不信感を背景に、低迷が続く新興市場。ようやく形になりかけていた新興市場再編問題の実現が遠ざかることで、投資家たちの不信感に拍車をかけることになってしまのだろうか。

特定株主の意向は、市場として好ましくない

 2007年末、日本証券業協会は保有するジャスダック株を大証に売却する方針を決定。その後、日証協と大証の間で売却交渉が進められていた。

 3月18日、大証の米田道生社長が定例会見に出席した。売買システムの一本化に向けた協議について、技術的な問題はなく、後は条件を詰めるだけとコメント。提携に向けた順調な進ちょくが確認されていた。

 ジャスダックは独自の売買システムが高コスト体質。先々の経営統合や市場統合に向け、大証のシステムをジャスダックが利用する形で一本化し、運営コストを大幅に削減して収益力を高めることが今回の統合の狙いとされていた。

 3月19日には日証協が定例会見を実施。安東俊夫会長は、SBIホールディングスによるジャスダック買収意欲報道などを受け、あらためて売却先は大証であり、より高い価格での買収提案があっても応じない考えを表明した。

 加えて両新興市場の統合について、早くて2年後のイメージと、関係者として始めて市場統合に向けた具体的な展望を示していた。

 新興市場再編問題は2007年末に向けて盛り上がりが最高潮に達していた。ジャスダック株の売却先が大証に決まったことで、株式市場関係者の注目度は一旦、落ち着いていた。しかし、3月に入り、統合に向けた議論が進ちょく。再び注目度が高まった。

 そんな3月24日。順調と思われていた両者の協議に一気に暗雲が立ち込めた。ジャスダックが取締役会を開催し、同日夜に開催した会見で、実務化レベルで協議していた大証とのシステム統合案について、取締役会で否決したことを発表したのだ。

 大証との経営統合は、今回否決されたシステムの一本化が前提。ジャスダックでは取締役会での否決を受けて昨年末まで進めていた次世代売買システムの開発を再開すると発表。約7億円の投資負担が発生するという。

 ジャスダックでは、公共性の高い取引所が特定の株主の意向だけで運営されることは好ましくないと、大証による日証協保有株の大半の取得をけん制している。

「今さらダダをこねても・・・」

 大証とのシステム統合を否決した決定的な背景は明らかにされていない。規定路線となりつつあった大証による5割超の株式取得にも、ここにきて難色を示したことで、株式市場では「今さらダダをこねても・・・」と、半ば呆れた声も聞かれた。

 日証協保有株の大証への譲渡の方針が決定するまで、ジャスダックは独自経営路線を再三、強調。しかし、2007年末の日証協の決定を受け、ジャスダックは方針を急転換していたが、ここにきて当時からくすぶっていたジャスダック内での反発の火種が表面化してきた格好だ。

 取引所の経営統合への道の険しさが改めて認識されている。経営統合向けた道筋に不透明感が強まってきたことを受け、3月25日の株式市場では大証株が軟調に推移した。

上場企業流出と収まらない投資家の不信感

 ジャスダックは引き続き、大証とのシステム統合に向けた協議を継続していくとしているが、取締役会での否決を受けて経営統合、市場統合構想が暗礁に乗り上げる可能性も浮上している。

 現在、新興市場はオーベンの上場廃止などを受けて信用不安が再燃している。ジャスダックについても新規上場銘柄の減少と、東証など上位市場への卒業が相次いでいることで、上場銘柄数が減少傾向にある。ジャスダックを含む新興市場への投資家の関心は後退が続いている。

 日証協、ジャスダック、大証。各々の事情が絡み合う市場再編問題は、最終段階に入っても新興市場の発展という命題を置き去りに、投資家、上場企業を無視したところで議論が進められている。ジャスダックと大証の統合交渉の混乱、長期化は、更なる投資家の信頼低下、上場企業の流出を招きかねない。

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