どうなる、ジャスダック--大詰め迎えた新興市場再編議論の行方

 国内最大、最古の新興市場はどこへ行くのか――。ジャスダック証券取引所を中心とした新興市場の再編議論が大詰めを迎えている。

「新興市場が多すぎる」

 日本証券業協会はジャスダックの発行済み株式の72%を保有する。話の始まりは2007年7月、日本証券業協会会長である安東俊夫氏が「新興市場が多すぎる」と発言したことに始まる。安東会長は10月、協会の保有するジャスダック株式を売却する方針であることも明言した。

 安東氏は日本証券業協会がジャスダックの約7割の株式を保有する現状を「好ましくない」と発言し、再編議論に着手。「東京証券取引所もしくは大阪証券取引所に保有するジャスダック株を売却し取引所を統合する」「ジャスダックが単独経営を続ける」――などの案を示していた。

 これを受けて12月18日、定例会見で東証社長の斉藤惇氏がジャスダック株取得の見送りを表明。これでジャスダックは単独存続か、大証との統合かに絞られた。

当初から本命は大証?

 東証がジャスダック株取得を否定する一方、大証は一貫して前向きな姿勢を示し続けている。市場では、ジャスダックの統合先として従来から大証を本命とみていた。

 大証は東証に次ぐ、国内2番目の規模を誇る証券市場。株式公開している唯一の証券取引所でもある。他の取引所に先行して取引時間の延長(東証は午後3時まで、大証は午後3時10分まで)やデリバティブ商品の拡充、中国株ETF(株価連動型上場投信)を始めとしたユニークな商品の開発など、独自展開も進めてきた。

 ジャスダックなどが業績を低迷させるなか、その独自展開により、大証の業績は好調に推移する。2008年3月期業績は10月に上方修正済みで、連結売上高は前期比6%増の170億円、経常利益は同16%増の82億円を見込んでいる。

 ただ、大証の唯一のウィークポイントは新興市場と言われている。つまり、大証ヘラクレスのことだ。

 新興3市場の中ではジャスダック、マザーズに上場企業数などで後塵を拝しているヘラクレス。上場銘柄数175件に対し、ジャスダックは981件。大証はジャスダックを買収し、自身が運営する新興市場、ヘラクレスと統合させる考えのようで、仮に買収から統合の話が実現すれば、大証は新興市場において、一気に圧倒的なシェアを握ることができる。

 更にジャスダックと大証は既に緊急時のシステムのバックアップについて業務提携関係にある。宙ぶらりんになったジャスダック株の取得先として最有力と言われる理由がそろっているのだ。

「潰れかけの会社のように扱われている」

 証券取引所の再編議論が活発化する背景には、ジャスダックの業績面の問題も挙げられる。

 2008年3月期は連結売上高78億9400万円(前期比24%減)、経常損益は3億7200万円の赤字(前期は27億4000万円の黒字)と減収決算を計画するうえ、営業損益段階から赤字に転落する見通しにある。ジャスダックは従来から高コスト体質が指摘されており、今期は新興市場の売買高低迷が打撃となる。

 ただ、これには次期システムへの投資負担なども影響しており、言わば前向きな赤字。今9月中間決算時点の自己資本比率は81%と、上場企業なら好財務体質と評価される水準にある。ジャスダックの関係者は「まるで潰れかけの会社のように扱われている」と、これまでの報道姿勢に不快感を示している。

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