リコー、中期3カ年経営計画発表で株価上昇の兆し

 リコーは3月18日、2008年度(2009年3月期)〜2010年度(2011年3月期)の新たな中期3カ年経営計画を発表した。株式相場全般が軟調展開にある中で、この中期経営計画の発表をきっかけにリコーの株価が反転上昇の兆しを見せ始めた。

 同社が18日に発表した中期経営計画によると、2011年3月期の連結業績(米国会計基準)について、売上高を2兆5000億円(2008年3月期見込み比11%増)、営業利益を2500億円(同33%増)、売上高営業利益率を10%増(同8.4%)、ROE(自己資本利益率)を12.5%、配当性向を30%(長期的目標値)としている。

 この数値目標を達成するために同社では、基本戦略として?狙いとする事業領域で世界シェアトップになる?環境経営を強化、加速する?新たな成長領域を創出する?グローバルブランドを確立する――としている。業績目標数値の前提となる想定為替レートは、1ドル=105円、1ユーロ=155円としている。

 具体的には、これらの目標を達成するために、IT(情報技術)を利用した24時間遠隔管理サービスなどの強みを生かして、海外市場でのカラー複写機の販売拡大に力を入れる。また、成長の柱と位置付けるプロダクションプリント事業では、年内に高速カラー機を投入し、同分野で先行する富士ゼロックスを追い上げる構えだ。

 今後の成長が期待できるとして投資を続けてきたデジタル印刷や、低価格のオフィス向けプリンタ事業の収益貢献の向上を目指す。これに加えて電子デバイス事業で、携帯電源ICトップシェアの維持、デジタル家電用の新規電源分野での成長も目指す。また、省エネルギー、地球温暖化防止、省資源・リサイクル、汚染防止――などの実践により環境経営の強化も図る。

 同社の近藤史朗社長は、中期経営計画の発表会見の席上「15次中期計画(2008年3月期で終了)での構造改革の成果を確実に刈り取り、効率化を推進することで、目標の達成は可能。売上高偏重だった従来の計画の反省を踏まえて、利益を重視した筋肉質の会社にしたい」と積極的な姿勢をみせている。

 リコーの株価は、2007年6月25日に2950円の昨年来高値を付けて以降、ほぼ一貫して下降トレンドを辿り、今回の中期経営計画発表の前日17日に一時、昨年安値1395円まで売り込まれた。しかし、中期経営計画の発表を好感するかたちで、反発の兆しをみせはじめ、先週末21日には終値で1603円と1600円台乗せまで回復している。しかし、連結PERは依然として10倍台と超割安水準にある。

 同社の2007年来安値1395円は、何と1999年6月以来、約9年ぶりの安値水準となっている。株価1600円水準での連結PERの10倍台だけでなく、連結PBRも1倍台と解散価値とほぼ同様のレベルまで低下してきている。さらに、配当利回りの点でも2%を超える高い水準に達してきた。

 急速に進行する円高・ドル安など懸念要因はあるものの、中・長期的な視野に立てば、投資家にとって好買い場といえそうだ。

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