インターネットの歴史の中で、ユーザーがどのサイトへアクセスし、どのように移動していくのかのトラフィックの流れは、その時代とともに変化して参りました。そして今回のオープン化の流れによりユーザーのトラフィックに変化が起きる可能性があると考えます。
第1段階
ポータルサイトのようなTOPページからリンクを辿ることで、目的の情報へ到達する
例えば、リンク集、Yahooのディレクトリー検索など、インターネットが登場して間もないころは、この方法が一般的だったと思います。
第2段階
キーワード検索から、大規模サイトの下層ページやロングテール(ブログ、SNSなどから生まれるCGMやECサイトの商品そのもののページ)といった目的の情報に直接到達する
これはGoogleを初めとしたロボット検索の台頭がよい例でしょう。第一段階と比較して目的のページに辿り付くまでのステップが格段に減っています。
そして第3段階へ?
サイト側がユーザーの求めるデータをアップデートすることで目的の情報へ到達する
例えば、先に説明したOpenIDとソーシャルグラフや、DataPortability.org的な概念の組み合わせから、様々なサイトを巡回しなくても自分に関係のある情報がどこのサイトでも到達できるようになる。セマンティックウェブへのシフトが進むことで、RSSリーダーのように情報を取りに行く必要がなくなる。といったものがその例に当るでしょう。
ここまで述べてきたようにソーシャルグラフをはじめとしたオープン化の流れが進んでいくと、よりユーザーを中心としたインターネットの世界がやってくる可能性があります。
これまでユーザーインターネットの世界で自分に必要な情報を取りに行く、あるいは発信しようとした場合、様々なサイトに会員登録し、分散した個人情報を掛け持ちでコントロールし、欲しい情報を手に入れるために検索サービスで様々なキーワードを入力して探し回り、あるいはサイトを巡回するなど、ユーザーが積極的に動くことを強いられていました。
しかし、OpenID、ソーシャルグラフ、DataPortability.org、OpenSocialやセマンティックウェブの普及が進むにつれて、ユーザーが動くのではなく、インターネットの世界がユーザーに合わせて動くことで、インターネットの恩恵を享受できるようになるのではないかと考えます。
これはユーザーが「地」、インターネットの世界が「天」に例えると、地動説だったこれまでから天動説へ向かっている様に見えます。
これからインターネットの世界が天動説に向かうことで、インターネットはユーザーにとってより便利なものとなり、サイト運営者は新たなビジネスのチャンスが生まれるでしょう。
ポータルサイト ライブドア立ち上げ、ライブドアブログを初めとした、50以上のネットサービスを立ち上げる。同時に広報部長も兼任しライブドアのPRに貢献した。現在はゼロスタートコミュニケーションズにて社内外のサービス企画とプロモーションのコンサルティングに当っている。著書に「CGMマーケティング」、「ブログ炎上」、「情報化白書2007」がある。
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