初期のコンピュータゲーム「インベーダーゲーム」が我が家にやってきた時の衝撃は今でも忘れられない。しかし、筆者が打ってくる球をどうやったら多くすることができるのだろうかと考えたことは、一度もなかった。
コミュニティーエンジンの中嶋謙互さんが初めてインベーダーゲームに触れたのは3歳。いつの日か「敵の弾の数を増やしてみたい」という思いが、99.9%英語で書かれているユーザーマニュアルにあるコマンドを片端から試すようになる。費やした時間は実に3年以上。ついに弾を増やすことに成功した彼はその後、ゲームの世界へと引き込まれて行く。
プログラムを書き続けて約30年。現在はプログラマーではなく、社長業に専念をしているという中嶋さんの強さを支え続けてきた根幹に迫ります。もちろん懐かしいゲームの話題も盛りだくさんです。
※こだまんが下のビデオで本企画の趣旨を説明いたします。
僕は京都の東側の山科というところで生まれて、6歳までそこにいました。京都盆地の隣にある小さい盆地で、ちょうどその間に南禅寺があります。小学校からは滋賀の大津に移りました。琵琶湖には自転車で行ける距離ですね。
地元の人は琵琶湖を“海”と呼んでいますが。高校までは大津で、京都に戻ってきたのは大学から。東京に出てきたのは大学卒業前です。
小さい頃というよりも、高校時代までは一貫してアナーキストでしたね(笑)。
父親がアップル好きで、3歳の時に「Apple2」が家にやってきたんです。 当時は60万円位しましたね。Macintoshの前ですから、マウスはなく、カーソルのようなもので動かしていましたね。そのApple2にベーシックとゲームが2つ入っており、いつもいじっていました。
それは今で言えば「Second Life」を見て「これは何用ですか?」と聞くようなもので、1970年代後半はApple2に皆が想像を膨らませていた時代なんですよ。
キラーアプリはなくても、Apple2は世界中で爆発的に売れました。3歳からインベーダーをやっていたのは覚えていて、5歳くらいでインベーダーゲームを改造しようと思っていましたね。
一番初めにやりたかったことは、インベーダーゲームの敵の弾をもっと多くすることでした。そのためにどうすれば良いかと色々調べましたが、なかなか分かりませんでしたけどね。
Apple2にはぶ厚いユーザーマニュアルがついていて、A4の1枚ペラに日本語で書いてある以外は英語でした。
しかし、3〜5歳の子供にとっては、日本語も英語も関係ないんですよ、どちらで書かれていても分からない。だから全部そのマニュアルに書いてあるコマンドを試していきました。そうすれば、どれかが正解なんです。実際、動くコマンドもありましたしね。
できたのは8歳頃でしたね。でも子供は1つのことに3年位かけるわけですよ。 毎日コツコツと。親はプログラマーではありませんから、何も教えてくれませんからね。
次に触ったのが、富士通の「FM-8」という緑色のディスプレイ付きのマシンでした。ファミコンはまだ登場していません。このFM-8はマニュアルが日本語だったんです。ですから凄く使いやすく、ベーシックでゲームをつくっていました。
そんなものありませんよ(笑)。積み木で遊ぶのと一緒で、いろいろいじっていたらある形になったと。
僕と同じ年代でこの業界で活躍する人の中には、同じような幼少時代をたどっている人も多いと思いますよ。ベーシックとアッセンブリー言語をずっといじっていた人達ですね。
中学に入ると「MSX」が学校にあり、すごくプログラミングしやすいマシンだったので、友人と分担してゲームを作っていましたね。
中学2年にシャープの「X68000」というコンピュータをお年玉をはたいて買いました。25万円くらいでOSはハドソンが提供していました。このX68000で人生が変わった人はかなりいるのではないでしょうか。
ゲームセンターのゲームは家庭用のゲーム機と比べて、明らかにクオリティが高かったですよね。「魔界村」とかアフターバーナーがあった頃、あれだけの高いクオリティは家では絶対にできなかったじゃないですか。しかしX68000はアーケードゲームレベルの高いクオリティのゲームを自宅で作れるという凄いコンピュータでした。
家でゲームばっかりつくっていましたね。高校2年の夏に友達とゲーム会社をつくったんです。法律など知りませんでしたから真似事ですけれど。ただ、これはうまくいかずに1カ月も持たずに崩壊しました(笑)。
そのとき、社長をやっていた「からはん」(コミュニティーエンジン社外取締役のThomas Callaghan氏)は現在、我が社の役員に入ってもらっています。当時は僕が部下だったんですよ。
「Age of Empire」のような戦争シュミレーションです。しかし、なんだかゲームの話ばかりですね(笑)。
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