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プログラミングを愛し、ゲームと歩んだ30年の全記録(第11回:中嶋謙互) - (page 3)

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 「gumonji」の開発プロジェクトをやっていたときに、凄いソフトウェアだったんですが、全然儲からなかったんですね。プロジェクトとファイナンスの増資もストップしてしまい、解散するかしないかというところまで追いつめられました。

 その時に、解散せずにチームワークで改善できるのではないかと仕切り直しをしたのが2005年です。2000年から“やろうと思ってきた事”を一通りやってきて、結果、儲からなかったという現実を突きつけられた年でした。

--やりたいこともビジネスの可能性もあったけど、結局それに必要なお金がついてこなかったという現実を突きつけらたわけですね。そこから初めての営業をされたということですが、どのような活動をされたんですか?

中嶋氏 「ゲームは長い歴史がないと作れないと思います。その点、日本にはノウハウも歴史もありますから、世界をリードして、僕たちも世界を驚かせるようなゲームそして全く新しいソフトウェアづくりに携わって行きたいと思います」

 正直、お金にはなっていませんでしたが、それまでやってきた成果物、例えば「gumonji」などは、業界でも非常に高い評価をいただいていたので、比較的仕事はとりやすかったですよ。

--2005年からの変革にあたり、何かモデルにした会社はありますか?

 それを教えてもらいたいんですが、ロールモデルがないんですよね。つまり、日本でソフトウェアの特殊なスキルをベースに起業して、飛躍的に発展させたプログラマーの社長がいないんですよ。本田技研工業の本田宗一郎氏のソフトウェア業界版のような人がいないんですよね。

 飛躍的な発展というのはこれからですから、すべてが手探りなんですよ。ただ、今までマネタイズできていなかったことから、今度はお金を強く意識するあまり、将来への研究開発への投資がおろそかになっていたというのが、ここ最近の反省ですね。

--最近は東奔西走の日々が続いていると思いますが、ゲームはやりますか?

 長時間かかるゲームはあまりやりませんが、時間のかからないゲームはやりますね。WiiFitを家でやりますが、そのソフトの中のジョギングは将来的に大きな可能性持っていると思うんですよね。PSPもやります。

--Wiiは面白いですよね。僕も「戦国無双」にはまっています。これまで、過去について伺ってきましたが、今後についても伺いたいと思います。これからのコミュニティーエンジンはどんな会社にしていきたいですか?

 独自のプラットフォームを持っている会社にしたいですね。それはハードウェアでもソフトウェアでも通信インフラでもいいのですが、スクエアエニックスは「プレイオンライン」、タイトーはアーケードを持っているようにグループ会社を見渡すだけでも面白いプラットフォームを持っているんです。我々は全く関係ないものでも何らかのものを生み出したいなと思います。

「苦手なことは他の人にお願いするという発想」

--今までは得意な分野に関して聞いてきましたが、中嶋さんにとって苦手なことは何ですか?

 苦手なことを優先順位が下がりやすいということだとすれば、分かりやすく説明することが苦手かもしれないですね。

--それは苦手なことであり、変えていきたいということですか?

 苦手なことであり変えられないことだと断定してしまってもいいと思います。自分が出来ないんだから、他の人にお願いするという発想に変わって行きますから。

--ゲーム業界の今後についてはどのように考えられますか?

 PSPやニンテンドーDSといった持ち歩ける小さなゲーム機が過去これだけ普及したという事例はありませんし、「100ドルPC」ぐらいの性能を持っているPSPが、ネットワークでつながってPCと同じ機能を持っても良いわけです。ゲーム機が物凄く熱いネット端末になる可能性もあるんですよ。

 また、ゲーム全体の売り上げに締める割合が大きいRPGが売れなくなっていると言われているだけで、その他のジャンルのものは成長していると思いますけどね。

--色々と過去から未来について伺ってきましたが、これからは、このコラムで皆さんに伺っているいくつかの質問にお答えください。まずは趣味について。

 仕事でプロダクトのコードを書かないようにしていますが、趣味でプログラミングはしています。今話題の“超整理法”の考え方を取り入れたTo do管理アプリケーションなどは自分で作って実際に使っています。

 音楽もよく聞きますね。ジャンルとしてはエレクトリックで、クラークやテレフォン・テルアビブというアーティストが好きです。また、テレビではBS放送のファッション通信をよく見ますね。他の業界のものでもデザイナーやクリエイターの仕事に触れるのは凄く楽しいですから。

--そういえば、お子様が間もなく生まれるということですが、まずはおめでとうございます。

 そうなんです。2008年4月を予定していますが、親が僕にしてくれたように、インタラクティブな何かを与えてあとはほったらかしが良いかなと思いますね(笑)。

--尊敬している人はいますか?

 日本の偉人の本はよく読みますよ。ハッカーの世界では、著名なオープンソースを作ってきた人達ですね。不法で侵入するという意味合いで使われることが多い“ハッカー”ですが、ここでは「コンピュータをこよなく使いこなしている人」「コンピュータを使って物凄い速さで問題を解決する人」という意味で、リチャード・ストールマン氏やラリー・ウォール氏ですね。彼らのソースコードを見て影響を受けることが多々あります。ただ、ビジネスのロールモデルにはなりませんけど。

--読み返す本や感銘を受けた本はありますか?

 ジェフリー・サックス氏の「貧困の終焉」(早川書房)や山形浩生さんの翻訳する本は結構読みますね。

--論文『50年後の情報科学技術をめざして』からはロボットに対する興味が読み取られるのですが。ロボットは好きですか?

 ロボット本体よりも、彼らを動かすソフトウェアに対する興味ですね。結局はソフトウェアを使って、既存の問題を解決して行きましょうというのが僕が書いた論文のテーマですから。

--最近気になる人はいますか?

 シリコンバレーにあるMetaplace社のラフ・コスター氏ですね。Second Lifeの次を目指す会社です。僕の苦手な、誰にでもわかりやすくするというのが売りの人ですね。

--先日カンボジア・ベトナムを旅してきたのですが、あちらでは8台位のPCが並んだゲームセンターがそこかしこにあり、料金も安く多くの子供達がオンラインゲームをしてました。発展途上国のこれからを垣間見た日々でしたが、中嶋さんは旅行されますか?

 特に趣味として旅行をするということはありませんね。仕事ではありますが。

 ただ、バングラディシュには行ってみたいと思います。あちらでNPOをやっている知人がいまして、現状を伺ったんですが、バングラディシュではインターネットプロバイダーが出てきているんです。人口が1億4000万人以上いるのに、国土が北海道の2倍くらいの広さの平野なんですよ。

 物凄い良いWiMAX(ワイマックス)をつかえば、鉄道の線路にいくつか建てるだけで80%以上の人々にネット環境を提供できるらしいんです。興味深いですよね。そうなれば、彼らとネットを通じて仕事ができると思うんです。

 ただゲームを作るという観点からみれば、難しいですね。ゲームは長い歴史がないと作れないと思います。その点、日本にはノウハウも歴史もありますから、世界をリードして、僕たちも世界を驚かせるようなゲームそして全く新しいソフトウェアづくりに携わって行きたいと思います。

Venture BEAT Project
こだまん(児玉 務)

1997年日本アイ・ビー・エム入社。ベンチャー企業との協業、インターネットプロバイダー市場のマーケティングを経て、2000年よりナスダック・ジャパンに出向し、関東のIT企業および関西地区を担当。帰任後は、IBM Venture Capital Groupの設立メンバーとして参画し、その後退職し米国へ留学。パブリックラジオ局(KPFA)での番組放送の経験を得て帰国後の現在は、「“声”で人々を元気にする」をモットーにラジオDJ、イベント司会、ポッドキャスティングの分野で活動中。「Venture BEAT Project」プランニングメンバー。好きな言葉は「アドベンチャー」。

ブログ:「Edokko in San Francisco 2007

趣味:タップダンス、ビリヤード、会話、旅、スペイン語

特技:アメリカンフットボール、陸上競技100m

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