「LOOX Rシリーズ」の開発スタッフが考えるビジネスモバイルの”感性品質”とは[インタビュー後編]

インタビュー・文:大谷隆行 写真:渡徳博2008年03月17日 13時00分

インタビュー前編はこちら>>

機能性とプレミアム感の最適バランスを模索

--シンプルでありながら、どこか知的なたたずまいを感じさせるデザインも印象的ですね。新しいビジネスモバイルノートを作るにあたって、どんなデザインコンセプトを考えたのですか?

「竹だけでなく、ダイヤモンドや鉄などさまざまな自然素材をモチーフにしてモックを作成しました」(藤田氏) 「竹だけでなく、ダイヤモンドや鉄などさまざまな自然素材をモチーフにしてモックを作成しました」(藤田氏)

藤田(チーフデザイナー) モバイルノートには、大きく2つの方向性があると思うんです。1つは「タフ&ユーザビリティ」、とにかく頑丈で機能重視という志向性ですね。もう1つは「スマート&プレミアム」、知的でエレガントで、所有していること自体に喜びがあるものです。

 でも実際には、大多数のビジネスユーザーがその両方を兼ね備えたマシンを求めているはず──自分自身の素直な感覚からも、まずそう考えました。ですから今回『LOOX Rシリーズ』では、片方のベクトルに偏るのではなく、両方をいいバランスで満たすことを最重視しています。この「最適バランス」というのは、デザインだけでなく、プロダクトの開発全体にかかわる最大のテーマだった気がします。

--たしかにユーザビリティとプレミアム感をうまく兼ね備えたモバイルノートって、ありそうで意外にないですね。

藤田 そうですね。最近エンジニアやプロダクトデザイナーの間でよく使われる用語に「感性品質」というのがある。これは簡単に言うと、何かを見たり使ったりした際に、大多数の人が「ちょうどよい」と感じてくれる最適バランスのことです。いま各分野のメーカーさんが何とかそれを数値化しようと頑張っていますが、実際にはなかなか難しい。

--機能性とスマートさをバランスよく付与するために、具体的なデザインモチーフのようなものはありましたか?

「側面にカーブ状の切り込みを入れたり、上から見たラインに緩やかなアールを付けたりしています。微妙なラインを付けるだけでスクエアな印象がずいぶん変わってくるんです」(藤田氏) 「側面にカーブ状の切り込みを入れたり、上から見たラインに緩やかなアールを付けたりしています。微妙なラインを付けるだけでスクエアな印象がずいぶん変わってくるんです」(藤田氏)

藤田 いろいろ模索した結果、まず今回は「自然素材」からモチーフを見つけようと決めました。「自ずから然り」という言葉からも分かるように、環境にもっとも適合した機能性と、一切の無駄を排除した美しさを兼ね備えているのが自然素材だろうと考えたからです。

 水、鉄、鉱物などいろんな素材からアイディアを展開し、今回はゴールとして「竹」を選びました。竹という素材は、柔軟にしなる一方で、そうとうの負荷をかけても簡単には割れない強度も持っている。しかも、手にした際の触感がスベスベしていて、何とも言えない上品さも感じさせてくれます。「機能的でスマート」という今回のコンセプトには打ってつけだろうと。

 分かりやすいところでは天板にさりげなく1本、横方向の線を入れました。竹の「節」をイメージしたもので、これによって平板になりがちな外観にアクセントを加え、ちょっとしたプレミアム感を演出したいなと。

--ビジネスモバイルのデザインは、どうしても四角四面でスクエアな感じになりがちですが、『LOOX R』には程よい遊び心がありますね。

「自然素材をモチーフにしつつ、あまり丸みを帯びすぎない微妙な兼ね合いがポイントでした。液晶天板には、竹の節をイメージしたラインを入れています」(藤田氏) 「自然素材をモチーフにしつつ、あまり丸みを帯びすぎない微妙な兼ね合いがポイントでした。液晶天板には、竹の節をイメージしたラインを入れています」(藤田氏)

藤田 そう感じていただけると嬉しいですね。もちろんデザイナーが発想する際のモチーフとして今回は「竹」を選んだということであって、そのイメージを過度に強調しないようには気をつけました。

 フォルムの面でもう1つ挙げますと、実は横から見たときに平行なラインが1本もないんです。竹は成長する際、決して平行には伸びていかない。それと同じように少し先細ったシルエットを採用することで、全体のフォルムに微妙なニュアンスを加えてみました。先端を少し狭めることで全体をより薄く見せる効果も働いています。実際に内側をレイアウトするエンジニアにはそうとう苦労をかけたと思いますが(笑)。

富士通ビジネスモバイルノート『LOOX Rシリーズ』

従来の10.6型ワイド液晶搭載モデル(LOOX T70X)とほぼ同じ設置面積に12.1型ワイド液晶を搭載。コンパクトさと使いやすさを兼ね備えた、富士通の新しいビジネスモバイルノートが、この『LOOX Rシリーズ』だ。最新の「インテル Core2 Duo プロセッサー 低電圧版」や、ガラス厚を薄型化したLEDバックライト液晶の採用などにより、約1.27kgの軽量ボディーと約11.7時間という長時間稼働を両立。また200kgfを再現した天面部の全面加圧試験や35kgfの一点加圧試験など厳しい基準をクリアし、真のモバイルギアにふさわしい堅牢性もしっかりと確保されている。また本体天面部には光沢のグロスブラック色を採用。デザイン面でのプレミアム感も大きな魅力だ。


仕様

●外形寸法:W274~280×D207×H27.3~37.4mm
●CPU:インテル Core2 Duo プロセッサー低電圧版SL7100(1.20GHz)
●OS:Windows Vista Business
●メモリ:1GB
●HDDドライブ:約120GB
●光学ドライブ:DVDスーパーマルチ(DVD±R 2層書き込み対応)
●通信機能:IEEE802.11a/b/g、Bluetooth
●インターフェース:USB2.0×3、モデム(RJ-11)、LAN(RJ-45)、IEEE1394(S400 4ピン)、外部ディスプレイ端子(アナログRGBミニ D-SUB 15ピン)ほか

製品の詳細はこちら

インタビュー前編はこちら>>

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]