究極のユーザビリティを追求した「LOOX Rシリーズ」の開発の裏側を探る[インタビュー前編] - (page 2)

インタビュー・文:大谷隆行 写真:渡徳博2008年03月03日 13時00分

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コンパクトな本体にマックスの液晶を搭載

--新しい『LOOX R』を使ってまず感じるのは、本体サイズに対して画面が大きく、とても見やすいことです。ディスプレイの比率をここまで高めたモバイルノートは業界初では?

嶋崎 そうですね。今回の『LOOX Rシリーズ』では、10.6型のワイド液晶を搭載していた従来モデル(LOOX T70X)とほぼ同じコンパクトさを維持しながら、12.1型ワイド液晶パネルを搭載しています。このサイズの液晶を積んだモデルとしては、現時点では世界最小設置面積です。(2007年12月17日富士通調べ)

 表示領域が拡大した分だけドットピッチも広くなって、文字サイズも約13%大きくなりました。大量のテキスト書類を読まなければいけない場合など、リーダビリティはかなり上がっています。

--見過ごされがちですが、移動中にメールを作成する場合など、文字の大きさというのは重要な要素ですね。

嶋崎 ええ。ディスプレイのサイズというのは、結局モバイルにおけるユーザビリティの問題と直結している。それもあって、このサイズ(幅274mm)に12.1型のワイド液晶を載せたいという思いは『LOOX R』の出発点と言ってもいいと思います。

 とはいえ、最初はごくシンプルな発想で。「既存の『LOOX T』にそのまま12インチの液晶が載ったら凝縮感があってカッコイイよね」というレベルから始まっているんです(笑)。で、次に実現の課題を洗い出し、その時点でベストなソリューションというのを1つひとつ見つけだしていく。

 まず「お客さまにこんな価値を提供したい」という思いが先にあり、それを共有したスタッフが知恵を絞る──このやり方は今回の液晶に限らず、全てに共通する私たちの基本スタイルです。

--ユーザーのメリットをいかに形にしていくかという方向で、全ての物事を考えていくわけですね。では今回、12.1型ワイドを搭載できた具体的要因というと何でしょうか?

「液晶の開発部門とは、それこそ1つひとつのパーツに関して『ここまで小さくしてほしい』『この部分はどうしても必要です』と議論し、ミリ単位で寸法を決めていきました」(後藤氏)  「液晶の開発部門とは、それこそ1つひとつのパーツに関して『ここまで小さくしてほしい』『この部分はどうしても必要です』と議論し、ミリ単位で寸法を決めていきました」(後藤氏)

後藤 他部署との連携がうまく機能したことが、やはり大きかったです。設置面積は変えずディスプレイのサイズを大きくしようと思うと、筐体設計を工夫するだけでは限界がある。液晶ユニットの開発部門が頑張ってくれないと小型化は実現できません。

 今回、12.1型ワイドを搭載するというコンセプトを固めた時点で、まず富士通社内で液晶を専門に扱っている部署に、どんなストーリーで開発を進めればいいかという相談を持ちかけました。両部門の設計担当者が開発の初期段階からいろいろアイディアを出し合えたからこそ、この設置面積でほぼマックスの表示領域が実現できたのだと思います。

--従来モデルと比べると、左右のフレームにあたる部分がギリギリまで細くなっています。

後藤 この液晶フレーム部分には通常、液晶を稼働させる制御用ICや配線などが格納されています。私たちにとって、このスペースを削られるのは非常に苦しいんですが、今回は約5.4mmにまで最小化しました。

従来モデル(10.6型ワイド)のコンパクトさをほぼ維持しつつ、ディスプレイ両サイドの液晶フレームをギリギリまで細くすることによって、本体サイズを最大限活用した12.1型ワイド液晶を搭載。 従来モデル(10.6型ワイド)のコンパクトさをほぼ維持しつつ、ディスプレイ両サイドの液晶フレームをギリギリまで細くすることによって、本体サイズを最大限活用した12.1型ワイド液晶を搭載。

後藤 実は『LOOX Rシリーズ』の前にも、まったく同じようなコンセプトで『MGシリーズ』というモデルを出していまして。従来の13.3型ワイド液晶モデルに14.1型ワイド液晶を搭載したんですね。このときもやはり、液晶部門と私たちPC事業部とがプロジェクト立ち上げ時から密に連絡を取り合い、実現にこぎつけました。その経験も今回大いに生かされています。

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