嶋崎 稼働時間というのは、言うまでもなくモバイルノートにおいて決定的に重要な要素です。特に『LOOX R』は「24時間、どこにでも持ち運んで使っていただく」のがコンセプトですから。冒頭にも申し上げた通り、ユーザビリティを損なわない範囲でギリギリ限界まで延ばさないといけない。今回も1つひとつ部品単位で消費電力を計り、その積み重ねにより電源回路に無駄がないかを徹底的に検証しました。
嶋崎 細かい工夫では、バッテリー構成を変更しています。例えば店頭販売モデルの場合、従来の『LOOX T』も今回の『LOOX R』も同じく6セルバッテリーを使っていますが、これまでが「直列3本×2セット」の構成だったのに対して今回は「直列2本×3セット」になっています。またウェブ販売モデルも、『LOOX T』が「直列3本」の3セルバッテリーだったのに対し今回は「直列2本×2セット」構成の4セルバッテリーを採用しました。その方が限られた電源をより効率よく使い切れるからです。
パソコン内部では、バッテリーの出力電圧をそれぞれのパーツに合った低い電圧に変換しています。その際、電圧の差が少ない方がより変換効率がいい。リチウム電池3本を直列でつないで得られる電圧は約10.8ボルトですが、2本直列の構成にすることで約7.2ボルトとなり、より効率良く交換できるし、さらにロスによる発熱も抑えられます。
嶋崎 そこがモバイルノート開発の面白さでもありますしね(笑)。もちろん回路構成を突き詰めるだけではダメで、同時にそのマシンがどんな使われ方をするのかイメージすることも重要なんですよ。メール作成やワープロなどごく一般的な作業と、動画の再生やエンコードなどでは、CPUやHDDにかかる負荷状況はまったく違ってくる。電源回路の設計時には、「どういう負荷状況の際にもっとも効率が高くなるか」をきっちり想定する必要がありますので、そのあたりにも気を使いました。
後藤 最新の「インテル Core2 Duo プロセッサー 低電圧版」を採用していること。あとは意外に見過ごされがちですが、液晶のガラス厚をギリギリまで薄くしたことも大きいですね。液晶サイズを10.6型ワイドから12.1型ワイドにすると、そのままだと全体の重量がアップするのは避けられません。そこでガラス厚を従来の「0.3mm」から「0.21mm」に変えることで、その分を吸収しています。たった0.09mmの差ですが、これが意外に利いてくるんです。
後藤 製品を量産する以上、出荷時の高い品質の確保と、出荷後何年にもわたりサポートしていくことも考えなければいけません。そのために私たちは開発当初より、製造工場やサポート部門と何度も議論を重ね、間違いなく製品が製造されるように、万が一の修理時にもトラブルが発生しないように、さまざまな工夫をしています。"Made in Japan"にこだわること、つまり開発から製造まで一貫した国内生産を行うことは、お客さまにワンランク上の価値を提供するという意味で、非常にプラスに作用していると思います。(パソコン本体の部品受入検査・CPU組み込み・部品組み込み・最終組み立て・出荷試験(品質管理)を日本国内で実施)
インタビュー後半では『LOOX Rシリーズ』のデザイン、優れたユーザビリティと洗練されたプレミアム感が絶妙にバランスした“感性品質”の秘密に、より深く迫ります。
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