1月31日で、創立13年目に突入したヤフー。日本でもっともアクセス数の多い検索ポータルサイト「Yahoo!JAPAN」には日本最大のネットオークションサイト「Yahoo!オークション」など、多彩なサービスを持つ。1996年1月の創業からわずか1年10カ月後の1997年11月に店頭登録銘柄として株式を公開 、2003年10月には東京証券取引所第一部市場に上場した。さらに2007年2月にはジャスダックへの重複上場も果たした。
同社の成長の足跡を、ページビュー(PV)の推移から見てみよう。サービス開始から1年3カ月後、1997年7月における1日あたりのPVは500万PV。その倍の1000万PVに到達したのは、約1年後の1998年6月だ。2000年初頭からネット利用者数の急増に呼応する形で急激にPVも伸び始め、2000年7月に1日あたり1億PV、2001年8月に同2億PV、2004年10月には同10億PVを突破。ネットレイティングスのネット利用動向に関する調査によれば、2007年5月度の月間PVは318億PVで、米Yahoo!やGoogleなどを抑え世界第1位。日本のネット視聴者全体に占めるYahoo!Japanの利用者比率は88%に達している。
利用者数増加とサービス拡大につれ、当然ながら、社員数も増加の一途をたどっている。ここ3年は、新卒と中途を合わせ毎年700名弱を採用しており、総従業員数は2007年末の時点で2662名と、創立時(37名)の約72倍に達している。ヤフー人事部人材開発リーダーである片岡勝氏の説明によれば、近年は特に新卒の採用に力を入れており、2008年4月には約280名の新卒者が入社するという。
「新卒採用を始めたのは2001年からです。当初は技術者10名程度でしたが、2005年に150名、2006年には260名と、一気に採用人数を増やしました。それまでは中途採用が中心で、新卒採用のノウハウや準備も十分でなかったので、2005年は辛かったですね(笑)」
新卒採用を開始した時期が前述のPV急成長期とほぼ一致するのは、偶然ではあるまい。片岡氏は新卒を積極的に採用するようになった最大の理由として、創立から10年近くが経過し、研修制度はもちろん、上司や先輩が新入社員の面倒を見るなど、会社として人材を育成する体制が整ったことを挙げる。即戦力のみを求めるベンチャー企業から、人材育成の余裕がある大企業へと成長した、とも換言できるだろう。実際、2001年〜2002年に新卒で採用した社員の多くは、その後順調に成長し、現在では主にチームをまとめるリーダーとして活躍しているという。
一方で、採用者を職種別に見ると、中途と新卒で明確な色分けがなされている。
「中途採用については、エンジニアは2〜3割で、企画職や制作職など、技術職以外のほうが多いですが、今年入社する新卒290名のうち190名はエンジニアとしての採用です。この業界は、次から次へと新しい技術が出てきますし、新たなサービスを出し続けなければいけません。そうした変化にうまく対応するには、やはり若い感性を持った技術者の力が不可欠ですから」(片岡氏)
ヤフーが人材に求めるものは、他の多くのIT・ネット企業同様、中途と新卒で大きく異なる。中途の場合、各職種のプロフェッショナルとして採用するため、当然、経験とスキルを中心に判断する。一方、新卒に強く求めるのは潜在的な能力と新しいことを学ぶ姿勢、加えて、変化の激しい業界に対応する力だ。
「採用の段階でインターネットに極めて詳しく、これを一生の仕事にしたいという新卒者は、実はそれほど多くないんです。ただ、就職先に当社を選んだ時点でネットについて一所懸命調べ始めるとか、現状は知識がなくてもこの先いろいろと学びたいとか、そういう情熱があればいいと思います」(片岡氏)
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