とはいえ、中途と新卒、どちらの場合でも、会社にうまくフィットする人材でなければ本来の力の発揮は望めない。それを見極めるため、本人の経歴や希望に添ったサービスの担当者が面接官となって、最低2回の面接を行う。
「お互いが不幸にならないためにも、面接では当社の提供できること、できないことをはっきり伝えます。例えば、新しいサービスをどんどん作りたいというのが本人の希望でも、当社として守らなくてはいけないこと、やらなければいけないことがある。面接では、そうしたお互いの主張をすり合わせていく感じですね」(片岡氏)
経験やスキル、ポテンシャルが十分で、戦力として期待できる人材でも、社風に合わず、採用に至らないケースもある。また応募者も、かつては面接の際、仕事内容や社の展望を質問するケースが多かったのに対し、最近は社風が自分に合うか否かを気にかける人が増えているという。広報の小泉真紀氏は同社の社風について、「同じ社内でも、チームや部署によってカラーが違い、本当にいろいろな社員がいます。それこそが一番の“ヤフーらしさ”かもしれません」と分析する。
片岡氏の意見も同様だ。「当社が、いわゆる特定の“求める人物像”を打ち出していないのは、多様化するサービスやユーザーに対応するために、さまざまな個性や感性を持った多様な人材を必要とするからです」
新卒の最終面接を私服で行うのも、普段通りの格好でかしこまらず各自の個性や本来の姿を出して欲しいという狙いがあってのことなのだ。
さらに同社は、優秀なエンジニアの獲得策のひとつとして、2006年から年3回、同社の技術面の説明に特化した会社セミナー「ウェブエンジニアリングアカデミー」を開催している。参加者を1回50名程度、技術的な予備知識のある新卒者に絞り、大会場、大人数でのセミナーではリーチしづらい上級層へのアピールの場としている。
「どの会社でも欲しがるような、優秀な技術者向けのセミナーです。普段知ることのできないような当社の裏側、『これ以上はいえない』というレベルの話を伝えられる場ですね」(片岡氏)
セミナー参加者の満足度は上々で、そのままヤフーへ入社する率も高い。ただし全体的に見ると、高いスキルを持ったエンジニアはどうしてもシステムインテグレーターなどの企業に流れてしまいがちだという。技術者不足がさけばれる昨今、エンジニアの採用に苦心しているという点では、業界最大手のヤフーでさえ、同業他社と大きな差はないようだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」