米国時間2月13日に米国下院に提出された「ネット中立性」に関する修正法案(「Internet Freedom Preservation Act of 2008」)でも、ComcastやAT&Tを始めとするネットワーク事業者は、コンテンツに対して「不当に差別的な優遇」を行わないことが求められている。
しかし今回、下院の「インターネットと通信に関する小委員会」の議長を務めるEdward Markey下院議員(民主党、マサチューセッツ州選出)によって提出された修正法案(PDFファイル)では、ISPに対して特定の規則を直接的に強制するようには定められていない。この修正法案には、共和党が優勢だった2年前の連邦議会で否決された以前の法案よりも規制色を薄めようとした努力の跡が見て取れる。
Markey議員は修正法案を提出するにあたって出した声明において「この法案には、インターネットにおける規制を求める条項は一切盛り込まれていない」と述べるとともに、「しかし、インターネットの発達と発展に寄与してきた原則を維持する価値は非常に高いということが示唆されており、米国のブロードバンドポリシーの指針としてそういった原則を明文化しようとしている」と述べている。
過去においてネット中立性関連法案に反対していたCharles "Chip" Pickering下院議員(共和党、ミシシッピ州選出)は現在、「Internet Freedom Preservation Act」と呼ばれるこの修正法案の共同提案者となっている。
この修正法案が、以前にネットの中立性に関して連邦議会に提出された法案によってインターネットの規制が不必要に増えると抗議したネットワーク事業者の声に配慮しようとしたものであることは明らかである。
以前に提出された法案ではブロードバンド事業者に対して、コンテンツのブロックや品質低下を禁止したり、特定のアプリケーションの優遇を禁止したり、特別待遇の見返りに「特別料金」を徴収することを禁止するなど、ある種の義務を課していた。そして、違反者には罰則が適用されるという規定もあった。審議中であるものの、今期の連邦議会で実質的に審議されていない上院の法案も同様のアプローチをとっている。
Markey議員とPickering議員によって提出された修正法案は対照的に、既存の連邦通信法に4つのブロードバンドポリシー条項を付け加えることを提案している。こういった条項は、米連邦通信委員会(FCC)が数年前に採用したブロードバンドに関するポリシー原則の上に付加されるものである。こういったポリシー原則には、コンシューマーはネットワークに悪影響を与えない限り、自らが望んだ合法的なコンテンツにアクセスし、好きなデバイスを接続することができるという提案も含まれている。
Markey議員の側近によると、修正法案ではこういった原則に違反した場合の罰則が規定されていないという。しかし、同法案では規則を今後厳格化する可能性が残されている。ある原則には、政府が「ネットワーク事業者がコンテンツの供給元や所有者、供給先に基づいてそのコンテンツを不当に差別的に扱ったり、品質を低下させたりすることを防ぐための基準」を採用し、強制するべきであると記述されている。
修正法案はFCCに対して、ブロードバンド事業者の現在の慣習を調査し、インターネットの開放性を規制することになる「強制力のある規則」が必要であるかどうかを研究するよう求めている。また、FCCはブロードバンドにおける競争やコンシューマーの保護、コンシューマーの選択に関する状況を議論するために、公開「ブロードバンドサミット」を最低8カ所の米国内の「地理的に分散した場所」で開催するよう求められている。
修正法案は、ネットワーク管理慣習に関する米国政府の注目が最近高まっている最中に提出された。FCCは、企業にとって自社ネットワークのPtoPトラフィックを減速することが「理にかなっている」のかどうかを評価している。Comcastは、すべての同社サービス加入者がスムーズにネットワークを使用できるようにする試みであると主張し、これを認めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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